1220.地方創生は新手のバラマキか |
さて、2014年度補正予算を年末に編成する方向で政府は検討に入ったようです。
来年10月に予定する消費税の再増税に備え、地方経済を下支えする方針で、公共事業や中小企業支援を軸に調整する。(9/6、共同通信)
10%への再増税と引き替えに財務省は補正を打つ構えです。「補正予算の規模は、国債を増発しなくても4兆円台の補正が可能(9/5、日経電子版)」との報道もありますから、2013年度補正の5.5兆円にほぼ匹敵する規模となりそうです。今年4〜6月期の実質GDPが年率7.1%減となるなど個人消費の落ち込みが大きくなっています。内外の関係者からは再増税のリスクは大きい、との指摘もありますが、年末には首相が再増税の決断をするのではないか、と見ています。
材料難にもかかわらず日本の株価は何とか持ちこたえています。GPIFの運用改革には法改正が必要ですが、自らの裁量でできる部分について、すでに株価操作が始まっているのではないか、との指摘もあります。さらには内閣支持率アップをねらった内閣改造、そして9月下旬には北朝鮮による拉致被害者の安否再調査報告が出てきます。場合によっては、内閣支持率が大幅に上昇するかもしれません。
いずれにいたしましても、消費税再増税への地ならしがこれから行われるのは間違いありません。さて、地方創生相におさまった石破茂氏は、「地方創生には、旧来型公共事業はやらない」と述べましたが、これは就任会見時点の話ですので、補正の花火が打ち上がった今となっては話が違ってきます。国交省などは地方創生の目玉として道路や新幹線の建設を上げていますし、「国土強靱化計画(=財政脆弱化計画)」という必殺アイテムも持っています。石破さんが何と言おうが、「地域創生」と呼び名を変えようが、地方へのバラマキ以外の何物でもありません。
今の行政というのは、中央が示したメニューを地方が選択するようになっており、地方独自に予算を欲しがろうにも地方の裁量では何も出来ないに等しい。何度かこのサイトにも書きましたが、建設業が地域の主要産業という市町村があまりにも多く、要するに地方が公共事業を欲しがる構造になっているのです。建設業とは一部を除けば需要を自ら作り出すことのできない業種。私は、家を新築するのも「一人公共事業」と呼んでいます。いずれにしましても地方創生といっても今の枠組みでは無理がある。バブル期の真っ盛り、1988年から1989年にかけて、竹下登首相(当時)が「ふるさと創生事業」と称して全国の市町村に1億円ずつバラまいたことはまだ記憶に新しいところです。それと何がどう違うのかまだわかりません。地方にカネをばらまくための新手の手法、私は今のところそう理解しています。
民営化です。公務員人件費縮減です。不採算部門の切り捨てです。国民生活水準の差別化です。地方の人間は国家救済の道を閉ざされます。県庁所在地の公務員住宅は難病等治療患者家族のために低賃貸出しすべきです。(役所が違うからできないそうですが、おかしいです)
ちなみに、度々「リフレは是か非か」という議論が生じますが、改めて申し上げますが、アベノミクスはリフレではありません。大増税+金融緩和、という全く新しい経済理論です。増税宣言して、先行き懸念とデフレ期待を生じさせながら、金融緩和やバラマキをやるという、アクセルとブレーキを同時に踏むような斬新な政策なのです。
海外からの評価では、「アベノミクスは失敗」という意見が大多数のようです。