1271.日本が破綻するまで続く出口戦略なき日銀の金融緩和 |
「日銀は財務省から直接国債を買っていないが、証券会社などを介して新発債を短期間で買っている、すなわち事実上、政府の赤字を中央銀行が穴埋めする財政のファイナンスの色合いが増している」と日経電子版は指摘しています。最近では長期金利は0.35~0.4%の水準にはりついて、0.45%をこえることもなくなりました。財務省は超低金利を追い風に、2016年度に必要な予算も国債の前倒発行で調達する予定、という記事をみました。保存しなかったので、ニュースソースはわからなくなったけど。
このまま "買いオペ" の手をゆるめずに続けていくと、市中で保有する国債はどんどん減っていき、事実上の財政ファイナンスの様相を呈していきます。いや、もう実態上やっていることは日銀による直接引き受けといってもいい。国の負債は減っていく。結構なことだ。この国の財政は遠の昔に破綻している、と私は主張したが、ハイパーインフレが起こるどころか、デフレがまだ続いている。経済学の常識が通用しなくなっている。経済学者はこの事実を誰も説明しようとしません。
「日銀は政府の一部なので、政府と日銀を連結して "統合政府" のバランスシートを作るべきだ」と法政大学教授の小黒一正氏が、8/31付けの日経紙の経済教室のコラムで指摘しています。要するに、日銀がせっせとやっているのは、民間が持っている政府債務を買い上げて、日銀の負債に付け替えているだけなのではないでしょうか。これではマネタリーベースをいくら増やしても、市中にカネは出て行かない。日銀の異次元緩和が奏功しない原因を垣間見たような気がします。
小黒氏は、また次のように述べています。「歴史的にみると、深刻な政府債務の中、マネタリーベースが恒常的に拡大すると、最終的に高インフレが起こる場合が少なくない。これまで高インフレを経験した国は深刻な政府赤字を抱えていたケースが多い。財政を支えるため通貨発行を抑制できなくなり、高インフレを誘発するのだ」…では、このまま日銀が "買いオペ" を続けていくとどこかで破綻が生じるのでしょうか。市中に出回る国債の量が減ると金利(価格)が不安定になる、という意見もあるが、そのような気配は今はありません。
日銀の黒田総裁は、7/16の会見で「物価上昇率が2%になるまで出口戦略の議論はしない。現時点では時期尚早」と述べています。黒田総裁の任期は2018年3月です。おそらく任期中に出口戦略が取り沙汰されることはありますまい。もう行けるところまで行くしかありません。永遠に先送りは出来ないのだろうけど、その先に何が待っているのでしょうか。
今の日本のビックマックの価格は、NYの半額だそうですよ。そんな状態は長くは続くはずありませんから、高インフレに備えた方が良いと思います。
最近は中国バブル崩壊で、円高株安が進んでいますが、10月には日銀の追加緩和があると予想されてますので、今が株の買い時かも知れません。