232.民主党のマニュフェスト「公共事業削減方針」について |
さて、3年間で5割削減するには、0.8×0.8×0.8=0.512、すなわち、毎年20%を超す削減率を3年間続ける必要があります。自民党の2006年度の公共事業の削減方針は、たったの3%でしたので、毎年2割削減とは大きな違いです。民主党には公共事業関係の族議員が (多分?) いないので、これでも公約としては、充分達成可能な数値目標なのでしょう。しかし、本来、公共事業費も含む歳出削減は増税と合わせて車の両輪のごとく進めていかなければならない。民主党のねらいはおそらく別にあります。
つまり、国の直轄事業の5割削減にターゲットを絞った目的は多分次の二つです。ひとつは、直轄事業費を半減させることにより、国の組織と人員を大幅に削減することが可能となること、もうひとつは、直轄負担金の削減です。直轄負担金とは、直轄事業費の1/3~1/2を都道府県が負担するものですが、財政規模の小さい県にとっては、県財政を圧迫する大きな要因となっていて、全国知事会議では2005年度の要望の柱に、直轄負担金の廃止を掲げるほど、大きな問題になっているのです。民主党は、全国知事会と共闘しようとしているのではないでしょうか。
民主党は、前回の総選挙の時に、小さな政府と地方分権(道州制)をマニュフェストとして掲げ、都市部では善戦しましたが、地方ではいまひとつ浸透しませんでした。今回は、都市型の政権公約が地方部でどこまで受け入れられるか、そこが市民政党としての真価を問われるのだと思います。