1277.このまま日銀が国債を買い続ければどうなるか |
日経10/23付けコラム、「異次元緩和ゆがむ市場」によると、「日銀の国債保有残高は、300兆円を超え、発行残高の3割を占めている。このまま日銀が国債を買い続ければ2017年末には5割を超える」 と、あります。さらには、「2018年末には国債発行残高の61%に達する」とされています。このままいくとどうなるのでしょうか。BNPパリバ証券の渡辺誠氏は「あと2年が限度」と述べています。これとて、明確な根拠はありません。「半分を超えたらさすがにヤバイよね」程度の発想のようにも思えます。
別の見方もあります。平田育夫氏の日経10/26付けコラム "核心" によると、「国債を買って事実上、国の台所を助けているのが日銀。政治家は一層の円安につながる追加緩和は望まない。その代わり年80兆円の国債購入を続け財政活用を支えるよう期待するのではないか」と指摘しています。まさに、日銀の異次元緩和とは国の財政を支える延命装置にほかなりません。デフレはその国の貨幣価値が上がるので、円高になる。その弊害を阻止するための異次元緩和がこのような結果になるとは皮肉なものです。日本のQEにはどうやら出口はないように思えます。
若林栄四氏は、近著「世界経済の破断界」の中で、日本の財政危機をあおっているのは、(財政再建に固執する) 財務官僚ではないか、という見方をしているようです。「コロンビア大学のデビッド・ワインシュタイン教授によると日本の政府債務総額はGDPの243%に相当するとなっているが、この数字は問題の実態を理解するうえでは、2つの理由から適切でないとしている」 (若林栄四氏)
「第一に日本の政府部門(注:日銀のことか?)は既発債の相当量を保有しているため、債務が二重にカウントされている。企業を評価する際には資産総額から債務を差し引いた純資産をみるように、政府も債務総額から資産を差し引いた純債務こそが、現在の財政状態を表す経済的に意味のある数字といえる。第二に、企業の連結決算には子会社が含まれるように、政府の連結決算にも公的企業の資産と債務を含めるべきである。筆者が日本政府のバランスシートを連結ベースで作成したところ、2014年6月時点で純債務はGDP比132%だった。
しかもこの数字も日本の問題を実態以上に深刻に見せている。現在日銀は既発債の相当量を保有している。日銀は原理的には国債を永久に保有できるので政府はその償還に頭を悩ます必要はない。日銀を政府のバランスシートに含めた場合、純債務は同時点でGDPの80%となり、グロスの1/3になる」(日経、2014年12月29日付け経済教室)
単年度の財政赤字をまかなうためなら日銀の買い入れは約40兆円ですむはず。80兆円毎年買い入れているのは、残り40兆円分、民間部門の償還額を日銀が吸い上げているものと考えられ、政府債務をやがて日銀がすべて吸い上げてしまい、国債市場は枯れてしまうことになる。仮に、買いの手を緩める、いわゆる出口戦略を考えるということはもはやできないのではないでしょうか。このままいけば、国債の暴落などあり得ないまさに異次元の世界に突入することになると思います。黒田総裁が「異次元」と言った意味がようやくわかりました。しかし、そのとき、我々はどのような光景を見せられるのでしょうか。
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冗談ではなく、本当にそうなってしまいそうである。
よく言われる「中央銀行が国債を買い取るのは“財政ファイナンス”であり、インフレを進行させる(ハイパーインフレになる)」というのは、結局、間違いであり嘘だったということだけはよくわかった。そもそも日本政府だけど、インフレを進行させたかったから大規模な量的緩和を実施してきたのだけど、インフレどころか消費者物価指数が下落しているようなありさまで、現実は「デフレになってるじゃねえか」という笑えない状況。
まあ、正確にいうと「金融機関が保有している既発債を中央銀行が買い取ったところでインフレは進行しない」ということなんだけど。(新規発行の国債を政府から直接中央銀行があまりに多額に買い取った場合にはインフレが進行する。あまりに多額に買い取った場合ね)
このまま日銀が国債を買い続けたらどうなるのかというと、別にインフレになるわけでもなく、日本の国の借金が実質的にどんどん減っていってしまうという、それだけのこと。それは、よくいわれている「日本の財政危機」だけど、何の弊害もなしに、どんどん「危機じゃない状況になっていっている」ということ。つまり、日本の国の借金は日本の国にとっては印刷という安直な方法で工面できるお金でインフレ進行等といった弊害無しに償還することができるということで、それって「日本の国の財政は危機的だー」という話は、実は間違いなんですよ、てことになるわけで…
急所のように思いますので。
国債発行残高が仮に1000兆円だとして、そのうち日本銀行が250兆円保有しているとします。この場合、日本政府が償還しなければならない国債は実質750兆円ということになるわけです。で、日銀が新たに50兆円ほど円を発行してこの50兆円で金融機関が保有する国債50兆円を買い取るとします。すると日銀保有分の国債は250兆円から300兆円になる。すると日本政府が償還しなければならない国債は750兆円から50兆円減って700兆円になる。これは「日本国の借金が実質50兆円減った」ということ。こういう理屈です。
要するに日銀が国債を買い取るというのは、買い取った分、実質的に国債という借金の返済が完了したということ。「日銀が国債を買い取ったらその分国の借金が減る」というのは「借金の返済が完了した分、借金残高は減っていく」ということ。
しかし、中央銀行による印刷という方法で工面したお金で国債の償還を行った場合、インフレが進行する(ハイパーインフレになる)という言われ方をしていたわけです。印刷という安易な方法で工面したお金で国債を償還したりしたら、確かに国の借金は減るがその分しわ寄せとして円の価値が下がるという主張です。
しかし実際、今次のアベノミクスにおける異次元量的緩和、つまり日銀による国債の爆買いという事態に際してインフレはまったく進行しない。インフレどころか既に述べたようにデフレになっているわけです。
だから私は「弊害がないのなら(インフレにならないのなら)いっそのこと、市中の国債を日銀がことごとく買い取ってしまえ。そうすれば日本政府の借金などチャラになる」と、なかば自棄的に申し上げているという次第。
要は政府日銀が紙幣を印刷してばらまいて来たが、全然インフレになっていないではないかとのことですね。
私はそれは円のゆるぎない信用度のせいだと思う。円の信用はそうそう揺るがない。あの大震災でも全く揺るがなかった。
円は泣く子も黙る世界最強の通貨なんです。それは日本国民の勤勉と優秀な産業力から来ていると思う。
と野口悠紀雄さんが「金融政策の死」などに書かれています。
特に短期国債ならば、所有しているだけでも満期を迎えるので自動的に減少するが、異次元緩和のように長期、超長期の国債は売却しようとすれば、市場価格を暴落させる可能性があると。また、所有していれば金利上昇に伴う価格下落リスクがあると。よって、緩和の出口が非常に難しいと。
ただ、今は、銀行が国債の売却代金を日銀当座預金においたままの状態に甘んじているので、インフレになっていないが、今後も緩和が続いて行く中で、いつまでも増加する「円」を持つことに意味を見いだせなくなれば(インフレを予想すれば)一気に引き出されることになると。
そうなれば、今度こそ大量の札束を刷って応じることになるのでインフレが止まらなくなるではと。
理論的には素晴らしいと思っていますが、
でも、現在はさほど円安にはなっていません。
中長期的見れば円安が進行して行きますからね。気付いた時には、インフレ資産課税でやられてますよ。
お金に価値があるのではなく、
その信用があってこそ通貨価値がついているんだから
行き過ぎや歪みはいずれ是正される
ある日突然通貨が売り浴びせに合う時がくるだろうね
では「国の貯金」はいくらぐらいなんだ?
ということで、ちょっと調べてみると、日本政府が保有している貯金額は総額で560兆円ほど。
日本政府の貯金というと「内外投融資金」「社会保障基金」「外貨準備金」が主なものでこれらの総額が560兆円ということ。
ということは、日本の国の純負債は1100兆円ー560兆円で540兆円。
で、日銀の国債保有分が300兆円で、だから日本の国の借金は実質的には240兆円。
さらに日本政府の不動産資産はたしか140兆円くらいで、あと国宝とかそういったものをあわせるといくらになるかわからないけど、そう考えると日本の国の借金て、実質では100兆円に満たないということになるわけで
で、現在、日銀が毎年発行される国債をすべて買い取るようなことをやっているから、日本の国って、「実質借金を負っていないのと同じ」ということになるんじゃないの?
これ、要するに日本の国発行の債券は実質的に担保が保障されているということになって、ということは、日本国債の価格の急激な下落って起きないんじゃないの? というか、起きようがないというか。
日本国債の価値が低下するなんてことを心配する必要がなかったとしても、円の価値が下がった場合、円建てで発行されている日本国債の価値も同じように下がっていくということ。
ただ、日本国債を発行している日本の国は日本円も発行することができるのだから、日本国債が償還できなくなるという事態は基本的には起こりようがないということで、であるならば、日本国債の破綻というのは起こらないということ。
もし、よく言われている「日本の国家財政は危機的である」という話が日本国債の危機に基づいたものならば、日本の国家財政危機論というのは間違いということ。
でも、日本国債の価値下落については心配する必要がないといっても、それは、「日本国債が円に対して暴落することを心配する必要はない」というだけのことであって、日本円の価値がズルズル下がっていったら、日本国債の価値も下がっていくわけで、だったら日本円の価値はどうなんだ? ということになるわけ。
で、日本円の価値だけど、というか、国家が発行する通貨の価値だけど、価値の度合いについてはどうやって判断すればいいのでしょうか?
その円安(最終的には制御不能となる円安)こそが、ドイツなどが極度に恐れている中央銀行による国債引き受け(財政法5条で禁止)による弊害ではないのでしょうか。
個人としては、資産運用利益への課税強化(個人年金なども)や資金の減少、公的年金の減額など直接的影響を心配しますが、気にしすぎでしょうか。
結局、円も日本国債も、ファンダメンタルスよりも、「皆がどう思うか」という方が大事なんじゃないですかね。その点、日本の金融資産の85%は、鈍感で変化を好まない50歳以上の方々にガッツリ抑えて頂いているので、当面は大丈夫だと感じます。
ただ、私は、10年後、20年後、30年後の日本が心配です。
日銀が保有する国債の量は異常ですでに出口戦略は不可能な状況に感じた。50%近くの国債を日銀が手放し始めたら国債の価値が下がる、国債の価値が上がるのを見込んで買っていた外国人も売りに転じる、
さらに政府が新規に発行する国債まで買い取ってくれるものがいなくなるので、政府は国債を発行しないで運営する方法を模索しなければならないくなる。
ではずーっと国債を買い取り続けたらどうだろう、インフレも確かに起こっていない、過度の円安も起こっていない。仮に突然円安になったら外貨建ての資産を処理しながら適度な速度の円安になるように調整すればよい。
円安自体は日本企業や日本の海外投資の円建ての利益を増やし、円建ての経費を相対的に減らすのですすめばすすむほど利益もでる。比較すると日銀は永遠に出口を模索しなければ安泰なように見える。
世界的に食料危機になったときも食料を輸入している日本などの先進国には影響がなく、食料を生産している新興国の方が先進国で売った方が高くうれると国内にでまわる分がなくなり飢餓になった。
しかし日銀が日本の国債を全部保有するという異常事態はかなりイメージが付かない。今後ECBやFRBといった主要な中央銀行が緩和を終了し引き締めにはいったときに日銀だけが異次元緩和を続けて
何事もなくすむかどうか、だれも予測できない事態が待ち受けているのかもしれない。