1380.「統合政府」論について考える |
さて、粘り強く「統合政府」論を唱え続けている人がいます。「統合政府」といえば、高橋洋一氏。高橋洋一氏といえば「統合政府」。以下、4/6付、ダイヤモンドオンラインから引用してみます。
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ノーベル経済学賞受賞のジョセフ・E・スティグリッツ米コロンビア大教授が3/14、経済財政諮問会議に出席したが、日本のマスコミは、ほとんど報道していない。こういう場合、マスコミに不都合なことが多い。
スティグリッツ教授は同会議の発言の中で、政府・日銀が保有する国債を「無効化」することで政府の債務は「瞬時に減少」し、「不安はいくらか和らぐ」と主張。また、債務を永久債や長期債に組み換えることで「政府が直面する金利上昇リスクを移転」できるとしている。
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高橋洋一さんは、マスコミが取り上げなかったのは、同会議の事務局である内閣府もマスコミもしっかりと内容が理解できなかったのではないか、と指摘しています。高橋さんいわく、内閣府は「無効化」と訳したが、英文原資料では「canceling」これは、会計用語では「相殺」だと。再び高橋さんの記事から引用してみます。
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「相殺」とは、右側のグロス国債残高1000兆円から左側の日銀保有国債残高400兆円を差し引くと、国債残高は600兆円と「瞬時に減少」することを言っている。(中略)日本の財政再建は「統合政府」でみればもう達成されている。
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日銀の保有する日本国債をチャラにするとは、財政的にどういう意味があるのか、考えてみましたが、よく理解できません。それについて書かれた書籍とかネット情報もない。それがいいことかどうか判断できない。対外的にどういう影響があるのか、考えてみましたが、ひょっとするとチャラにしたことで世間や市場を騒がすようなことは起こらないのではないか、と思うのです。なぜなら、日銀が国債を(間接的にしろ)買い入れた時点で何も起こっていません。むしろ、金利が下がる(価格は上昇)くらいですから。ということは、買い入れた時点でもう「終わった」話なのです、おそらくは。
ということは、財務省やマスコミがこの話をあまりしたがらないのは、増税しにくくなるからではないでしょうか。政府は、もうずいぶん昔から、年がら年中「財政再建」と言っています。いつ頃から「財政再建」と言っているのかはっきりとは覚えていませんが、大平内閣の頃ではないでしょうか。中曽根内閣のときも「財政再建」と言っていたような気がする。これは、もう家庭で奥さんが「倹約しなさい」と口癖のように言っているようなものではないでしょうか。