271.「来年度予算の新規国債発行額30兆円」に対する評価 |
11/15、小泉首相は、2006年度の新規国債を30兆円 (05年度は34.4兆円) に近づけるよう全閣僚に対して指示した、と11/16の朝刊各紙は伝えています。共同通信社によると、「量的金融緩和政策の解除観測が強まる中、長期金利の急上昇を回避することを狙い、歳出入一体で財政再建に取り組む姿勢を鮮明にした」とあります。しかし、産経新聞は、「税収不足で反古にしていた公約を達成し、改革姿勢を演出する思惑が見え隠れしている。景気好転で税収増が期待できるため、30兆円枠は低いハードルである。低い目標を設定しながら、国民には「改革を達成した」とアピールするためのパフォーマンス」と、やや手厳しい評価です。
バブルの最盛期でも税収は60兆円 (一般会計) でした。その後の税収減は、景気低迷もあるが減税も大きな要因となっています。05年度の一般会計の税収は05年度で、44兆円。これに対して、34.4兆円の国債発行、歳出は84兆円です。この状況から、2010年初頭にプライマリーバランスを均衡させるのは、歳出をかなり削減し、大幅な増税を実施したとしても、実現は容易ではないと考えます。
国民もそれを支持しているはず・・・
ただ、自然災害があれば国の責任・・・
経済犯罪があれば国の責任・・・
そして、今回の建築確認申請における構造計算書の偽造問題・・・
業者が責任もてないと見るや、国の責任・・・
民にできることは民に・・・
なんでもかんでも市場化テストで民間に移せばいい・・・
小さな政府って、そういうことですよね。
自己責任の世界ですよね。
そんなこと言っていたら、小さな政府って実現できるはずないですよね。
いつまで経っても独立できない国民がいれば、
いつまで経っても国の責任に転嫁する国民がいる限り、
(確かに気の毒ではありますが・・・さはさりながら、)
国民も小泉改革を選択した以上、ムードだけで国の責任を問うのではなく、腹をすえる必要があるのかも知れません。
サラリーマンの身の上としては、税制の公平性確保を何とかしてほしいと思うのです。
多くの国民が批判する公務員だって、収入に応じた所得税、住民税を相応に納めています。民間のサラリーマンと、そこは同様。
一方、自営業、農林漁業の確定申告納税者の中には、トウゴウサンピンといわれる問題があります。
この不公平を残置したまま、歳出の徹底削減だけで問題を解決しようとしても、収まるものではありません。
自分の将来の年金に跳ね返ってくるべき国民年金でさえ未納率が4割に上っている事実からして、
自分の将来に跳ね返ってこない所得税の申告においては、過少申告や無申告の状況が一定に存在しているであろうことが想像に難くないばかりか、
税務署による摘発の状況からも、うかがい知れます。
税収拡大ということだけでなく、このような観点で、歳出削減と併行して、所得補足の公平性確保、消費税を含む間接税の拡充などの税収構造改革が不可欠だと思います。