404.複雑化する住宅ローンとそのリスクを背負う消費者 |
平成19年4月から「特殊法人 住宅金融公庫」は「独立行政法人 住宅金融支援機構」となって、直接融資を廃止し、証券化支援業務のみを行うこととなりました。これはどういうことかというと、従来は、基本的には個人向け融資は公庫融資が圧倒的に多く、それを住宅メーカーが取り次ぎ、銀行は公庫の代理店として★手数料を公庫からもらう。公庫の融資対象とならないおこぼれの部分を銀行が直接融資する、という形態でした。公庫融資は銀行ローンに比べて金利面など圧倒的に有利だったのです。それは、公庫融資の原資は財投であり、個人の持ち家を促進させ、内需を拡大させるという、公共事業という国策を担っていたからです。
住宅ローンという安定的かつ高収益の市場を民間に開放させよと銀行業界は迫り、小泉改革は、「民でできることは民で」というスローガンのもとに、財投改革とセットで公庫の住宅融資を廃止してしまいました。そのことの是非については、ここでは触れませんが、公庫廃止によって住宅ローン市場は結果的に銀行の草刈り場になってしまい、リスクはすべて住宅ローンの消費者という個人が背負うことになったのです。
現在、消費者は、長期固定金利型か★★短期固定変動金利型、もしくはその両者の組み合わせを選ぶことになったのですが、それを斡旋するのは銀行と提携した住宅メーカーであり、住宅ローンを売るのは銀行です。極論を言えば、銀行が消費者の側に立ち、自社に不利な商品を勧めるということは有り得ません。そのような営業をしたら即座に銀行はその担当者をクビにするでしょう。なぜ簡単にクビにできるのかといえば、契約の最前線に立っているのは使い捨ての契約社員だからなのです。そもそもその人たちは、銀行のマニュアル程度の知識しか無いから中立的なことを言うということは、能力的にも無理と思いますが。
住宅ローン市場の現場で消費者が銀行相手に戦うのは至難の業のように思えます。国はかつて宅建主任者制度を作ったが、その実態は不動産業者に籍を置く営業マンのための資格だった。住宅ローンアドバイザ-なども同じです。比較的難易度の高い資格なのだが、住宅ローンを売る立場に籍を置かないと食べていけない。これらの有資格者は、本来、業者からは独立して消費者の立場で考えてあげるべきではないのでしょうか。しかし、日本では、アドバイザーやコンサルティング資格に個人が報酬を支払うということが慣例化していません。その結果、消費者が全てのリスクを負い、結果的に高い代償を支払うことになるのだろうと思います。住宅ローンの消費者は是非、契約時までに最低限の知識で武装されることをお勧めします。
結論を言いますと、銀行の勧めてくる短期固定金利変動型(それも2~3年の)は危険です。長期固定金利型と一部を短期固定金利型にする組み合わせパターンもやめた方がいいと思います。「現在、返済できるか」ではなく、「将来、余裕を持って返済できるか」という観点が重要です。
【記事訂正】10月19日20時31分、記事を一部追加・訂正します。
★「手数料を公庫からもらう」とあるのは、正確には、客から「取り扱い手数料」という形で徴収しています。また、公庫の直接融資は、今年度で終了しますが、現在は、公庫のフラット35に「サービスィング・フィー」すなわち、フラット35の金利に、各行が上乗せした金利を手数料の形で徴収しています。
★★短期固定変動金利型は、固定金利期間選択型という、呼び方をする場合もあります。
将来の金利逆ザヤリスクのみならず、最初から経費も賄えない金利ダンピング競争で、疲弊しきっているのが現状ですし、安易な貸出競争による審査基準の緩和や変動金利貸付による将来の金利上昇・返済額増加に伴って、ローン破綻リスクが増大しています。
最近「金財」の記事で見ましたが、既に地銀の中には消耗戦についていけず、住宅ローンをあきらめるようなところも出始めているとのこと・・・
郵政を民営化に追い込んで、今になって民営化による将来の業務拡大、肥大化に怯えている銀行界なのです・・・
しかし、郵政も民営化してしまえば、もはや銀行が反対する理由はなくなるのです。消費者サービスを競争関係の中で切磋琢磨していくということなのでしょう。
記事にしようかと思いましたが、404の記事と少しだぶる部分があるので、コメント欄に書き記します。①住宅の営業マン、②銀行のローン契約担当者、③消費者、これらの中で、住宅ローンに関する知識がないのは、概ね、③、①、②の順になります。住宅ローン知識に詳しく、消費者の立場に立ってアドバイスする銀行のローン契約担当者がいたら、即クビになる、と記事No.404で書きましたが、住宅の営業マンでもそれは同じことです。消費者の利益と、銀行・住宅メーカーの企業の利益は完全に相反する。だから、私は国に対して、公的なアドバイザー制度を作る必要性をうったえていきたい。比較的、近い資格は「ファイナンシャル・プランナー」でしょうか。私もこの資格を持っています。(この資格で食べていくことは不可能です) 真に消費者のことを考え、公平・中立な立場でアドバイスしようとすれば、組織に身を置いてはできません。従って、ブログの中に潜り、ブログを通じて、消費者の方々の相談相手になりたいと思います。
(日本国財政破綻Safety Net)
これも実は、背後にはメガバンクの資本提携があり、アコムは三菱、プロミス・三洋信販は三井住友・・・銀行も品がなくなってきましたが、
住宅ローンも同じです。
金融のプロである銀行が負いきれない金利変動リスクを、素人のお客さんに負担させ、
しかも、そのリスク度合いについて、お客さんにはほとんど説明すらしないんです。
アメリカでは、金利変動の最悪シミュレーションを具体的にお客さんに示さなければならない・・・説明責任が法定されていますが、
翻って、日本では、説明責任すら不明確です。
※「金融商品販売法」では、投資・運用商品に関する説明責任だけが定められており、「借り入れ」に関する説明責任を定めた法律は汎用的な「消費者契約法」にとどまります。
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=338790&log=20061018
相変わらずですな、日本のマスコミは。
所詮日本の外道役人どもは、国交省にしろ財務省にしろ経産省にしろ「国民の側に立つ公的なアドバイザー制度」なんぞ迷惑だ!というのがホンネでしょう。
>国に対して、公的なアドバイザー制度を作る必要性をうったえていきたい。
というわんだぁさんの思いは、腐れ役人どもに届くでしょうか。
http://www.d1.dion.ne.jp/~getchan/mutter/No_004.htm
を見ると参考になるかも?
とりあえず、今の日本にはやや性悪説支持が多いみたいですが
さらに、私は、木村氏が性悪説を支持しているとは言っていません。
木村氏の文によると、性悪説は米国資本主義があっていると述べたんです。スルーされるので、これで、失礼します
減損会計導入が導火線となったようで、年末に懸けて
不動産会社を中心にバタバタ逝きそうな気配がしてきま
した。有価証券報告書を見るとわかります。
また、米国の外資系生保を中心にお金を一斉に日本から
米国本国へき上げつつあるようですね。
いよいよ破綻処理が始まったと感じます。