478.道州制の理念とそれを阻む深い闇 |
日本の道州制については、自民党も民主党も公約に入れていますが、今後順調に動いていくのでしょうか。かつて、首都機能の移転という議論が盛り上がり、複数の具体の候補地が出ましたが、いつの間にか話題にすらのぼらなくなりました。石原都知事がもみ消したのか、それとも財政問題がネックとなったのでしょうか。日本の道州制についても同じ道をたどる可能性があるかもしれません。(道州制に関するサイト http://www.doshusei.com/ )
大前研一さんは、「日本は道州制に移行しないと将来の繁栄はない」 と主張されています。週刊東洋経済2007年12/30-1/6合併号の記事から、引用してみます。
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中国は全体では大きいが、実は北京、上海、広州…、といった20くらいの地域国家の集合体といえる。ブラジル、ロシア、インドも同様である。マネーの動きはすでにそれを先取りしていて、世界のマネーは上海や広州といった地域国家に向かうのであって、中国という国に向かうのではない。もし、国家の単位にマネーが入れば、その資金は辺境開発に使われるかもしれないが、投資家は決してそれを歓迎しない。地域国家では「神の見えざる手」が有効に機能する。世界中のカネ、企業、技術、人材を呼び込める地域国家だけが繁栄できるのである。
その経済原則が当てはまらないのが日本。まず納税者の税金、それで足りないと国債という形で将来の子供達から借りてくる。今後は人口が減少し税収が減っていくのだから、これでは何の解決にもならない。中央集権型の国家戦略を放棄して地域国家を目指さないと、世界競争で生き残ることは出来ない。日本の目指す地域国家とは道州制である。(以下略)
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大前研一さんは、最近の著書「ビジネス力の磨き方」(PHPビジネス新書/800円) の中で「道州制を阻む既得権益の壁」と称して、次のように述べられています。
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私は、日本は道州制にすべきと20年来言い続けている。中央政府が国を一律に管理するのではなく、地域が自分たちの努力と責任で世界中からカネと人材を集め、独自に経済を発展させ文化を育てるというのが21世紀の地域国家のあるべき姿である。特に投資を呼び込むためには、立法権や徴税権もその地域に移譲するというのが世界の常識といっていい。ここにきて与野党とも道州制と本格的に取り組み始めるようになってきたのは喜ばしい限りだが、政治家がこれは日本にとっていいことだと笛や太鼓で囃し立てるだけでは国はなかなか変わらない。人は理念では動かないからだ。
もっと具体的にいうと、今の制度の下で恩恵を受けている人にとっては、未来の日本よりも現在の利益を維持することのほうが、ともすれば大事なことのように思えてしまう。そういう人たちが集まって出来上がった抵抗勢力はなかなか一筋縄ではいかないのだ。道州制でいえば、知事と地方行政と結託した地元マスコミが最大の抵抗勢力となっている。現在の制度における地方自治では、知事は最高権力者だ。だが道州制になれば今までの都道府県という行政区域ではなくなってしまうので、全国知事会では道州制支持は4~5人と1割しかいない。地元マスコミが道州制に反対するのは、まさに知事や県と運命共同体だからだ。知事の足下にすり寄ることで利権を得ているとまではいわないが、地方新聞社の誰もが「県が廃止されれば自分たちの存在意義もなくなる」と多かれ少なかれ思っているのは間違いない。これは全国紙の支局も各県毎に支局を置いているNHKも一緒だ。だから地元マスコミがキャンペーンを張って道州制を推進するようなことは今後も考えにくい。逆は十分有り得る。(以下略)
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道州制の最大の抵抗勢力は中央官庁の厚い壁ではないか、と思っていましたが、大前研一さんの見方は少し違うようです。地元マスコミに限らず、都道府県域という枠の中で企業活動をしている地銀などの金融機関や県内企業にとって、県域の廃止はやはり痛手かもしれません。こうして考えてみますと、日本の道州制への道のりは遠いかもしれません。
現在の抵抗勢力が改革を先延ばしすることで、その下の世代も歳をとり抵抗勢力になる・・・。
気が遠くなるような時間がかかる気がします。
最近私も大前研一の本を片っ端から読んでいます。
これからますます激しくなる競争社会の中で生き残るためには
どういう能力が必要かとても勉強になっています。
今後日本が世界の中で勝ち組でいるためには、やはり道州制のように地域で競争できる制度が必要だと感じています。
個人としては最低限、英語力は身につける必要があると思っています。
ブログの更新いつもとても楽しみにしています。
頑張ってください。
ひさびさにブログを更新してみました。BillionDallor さんのブログもなかなか素敵ですね。
http://www.tv-tokyo.co.jp/biz/nms/days/070523/m7_1.htm