527.住宅ローン破綻をしないために (その1・基本編) |
その財務省のHPから引用してみましょう。国の借金財政はよく家計にたとえられ、財務省は次のようにHPに書いています。月収40万円に対して、支出は、生活費が33万円、ローンの支払いが元金だけで15万円、田舎への仕送り10万円で支出合計が58万円。従って、足りない18万円分は新たに借金してきます。そして、ローンの残高は4,600万円。月収40万円を12倍して年収に換算すると480万円です。年収の9.6倍のローン残高というのは、果たして過大でしょうか? 住宅ローン融資の現場に目を転じると、このようなことは普通に行われているのです。年収250万円そこそこの人に、頭金ゼロで2500万円とかの住宅ローンを貸し込む、などはごく普通の融資案件です。借りる方にも問題がないわけではありません。長期固定だと金利が高くて返せないので、3年間固定の1%台の金利で借りる。これだと (当面は) 何とか返せそうな気がして、つい勢いでハンコを押してしまう。実際、超低金利があまりにも長く続いたので、借り手側には、金利というのは上がることもあるのだという認識を持っている方が少ないように思います。日本にも住宅ローン破綻予備軍が大勢いるのが実態です。
今の日本には米国型のサブプライムローンというのはありません。借り手の収入や信用度によって、金利が極端に違うということはない。人によっては、ローンの審査を通らないということはありますが、金利を大幅に上乗せして貸し付けるということはしていません。(ただ、銀行の住宅ローンの場合、住宅メーカーと金融機関が提携している場合が多く、その両者の力関係によって、金利が違うということは有り得ます。) なぜ、金融機関の住宅ローンの融資審査がこんなに甘いのか、という問題はまた別の機会に論じるとして、今回は、借り手の立場から問題を少し掘り下げてみます。通常、住宅ローンは最長で35年又は80才までに完済することが条件ですから、最初の3年間の優遇金利期間が終わると、残りの返済期間にしわ寄せが行きます。3年後に返済額が5割増しとか、極端な場合、2倍に跳ね上がったりとかするわけです。しかも、その時になって、金利が上昇していたりすると、もっと悲惨な結果になります。
私は、住宅ローン破綻をしないために借り手の方に次の2点を提案します。
①返済総額は融資を受ける際に確定させる。(インフレ・金利上昇への対応には長期固定 ローンの選択が重要です)
②元金均等払いを選択し、ボーナス併用払いは使わないこと。(元金が早く減ります)
かつて、住宅金融公庫融資の時代には8割融資が基本 (2割は自己負担) でしたし、審査も民間の融資に比べれば厳しかったのですが、それでも公庫融資はかなりの焦げ付きを出しています。住宅ローン破綻という不幸に陥らないためには、借り手側は、物件購入に先立って、ローンの返済計画を立てることが重要だということだと思います。次回は、不幸にも破綻しそうになった時の対策について、考えてみたいと思います。
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