533.調整型の福田総理、見えない消費税増税論議の着地点 |
1997年4月1日 橋本内閣、消費税率を5%に
2009年4月1日 民主党菅内閣、消費税8%に税率アップ (10/18の状況で修正)
なぜ、2009年に消費税率アップなのかといえば、2009年に基礎年金の国庫負担率引き上げ (1/3→1/2) が予定されていて、必要な財源は約2.5兆円。消費税換算で1% 強必要です。これに少子化対策などに必要な財源を加えれば、消費税率はさらに上積みしなければなりません。ですから消費税率7%というのは税率アップの最低ラインのはず。(しかし、地方格差に配慮して、地方消費税をさらに上乗せする可能性もあります) もともと消費税率上げは、財務省・自民税調の悲願であり、経団連も支持しています。しかし、既定路線を進めようにも参院選での大敗で、消費税率の当面据え置きを主張する民主党を尻目に路線の修正を余儀なくされました。
国民にとって、単純に消費税率を上げることは、増税分を赤字の穴埋めに使われたり、変なところに使われるとの思いがあり、合意を得ることは簡単にはいかない。これに追い打ちをかけるように、経済成長にブレーキがかかり4-6月期の実質GDPの改定値が年率換算でマイナス1.2%に下方修正される (9/11付日経) など、自民党の成長戦略に陰りが見え始めました。デフレ脱却の足取りも鈍く2006年度の税収見通しは予測より1.4兆円も少なくなっています。(8/7付大阪朝日)
参議院の与野党逆転で、消費税上げの法案成立は難しくなり、民主党の基礎年金→税方式とし、さらに消費税の福祉目的税化 にすり寄った形での調整が図られているのではないでしょうか。最近になって、政府・与党首脳の発言に消費税増税をめぐる発言が増えてきたことから、おそらく、そうではないかと推測いたします。
■■
自民党の谷垣禎一政調会長は9日午前の衆院予算委員会の質問の中で、2009年度に実施する基礎年金の国庫負担引き上げの財源について「個人的には安定した財源である消費税でやるしかないと思う。その場合は社会保障目的税であるということを明確にしてやるべきだ」と述べた。(10/9毎日)
■
伊吹文明幹事長は3日の衆院代表質問で、2009年度の基礎年金の国庫負担引き上げに必要な財源について「すべての人が負担する消費税で賄うのは穏当な方法ではないか」と述べた。基礎年金の財源について、自民党三役が国会で消費税率引き上げを示唆したのは初めて。(10/4毎日)
■
自民党税制調査会小委員長に内定した与謝野馨前官房長官は、「困難の規模を直視しなくては問題は解決しない」と述べて、消費税増税を含む税制の抜本改革による財政再建に強い意欲を示した。また、「対話を前提としてものを言うのでなく、自民党としての正論を持つことが大事だ」と主張し、「無駄をなくして100円助かったと言っても、足りないのは1万円という話だ。額を考えないで財政を論じるのは精神論に過ぎない」と批判。「困難の規模を直視して議論する」と語り、歳出削減による財政再建には限界があり、消費税増税などの国民負担増が不可避との考えを示唆した。(10/5産経)
■
今後の議論の進め方としては、与謝野氏が党政調会長時に肝いりで設置し、「上げ潮」派により休眠状態に追い込まれていた財革研での議論を近く再開する。与謝野氏は「11月中旬に中間報告を取りまとめて知識・認識を共有したうえで、党税調での議論につなげていく」と指摘した。現在の党政調会長は、「税率10%が必要」など消費税増税に前向きな発言を繰り返している谷垣禎一元財務相。来年度税制改正での実現は不透明な政治状況だが、財革研の活動再開で、消費税を含む税制改革論議が自民党内で活発化する可能性が大きくなってきた。(10/10時事ほか)
■■
福田康夫首相は「今後、本格的な議論を進め、消費税を含む税体系の抜本的な改革に取り組み、安定した財源を確保したい」と述べるにとどまり、消費税率について具体的な言及を避けているようです。(10/5産経) 民主党側の情報が新聞等にあまり出ておりませんのでわかりませんが、今後、解散・総選挙となった場合、消費税の取り扱いは選挙の最大の論点になるのではないかと考えます。ちまたの予想では、総選挙は年末から来年1月にかけてではないか、といわれているようです。
また証券優遇税制の議論では、現在の不安定な株式相場の状況も「当然」考慮されるとの考えを示した。今後、消費税問題が与野党の対立軸となりうるかについては、年末の税制の議論次第とした。
わんだぁさん的にはこの増税やむなしの流れはどうなんでしょうか?