551.希望はあるか、未来はあるか |
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422.日本国財政破綻(財政大変動)は2010年~2012年 2006.11.30wrote.
過去にこのブログで書いた記事内容を整理し、政府機関等のHP情報をもとに、記事を再構成しました。私は、日本国の財政破綻(財政大変動)は避けられないように思います。
Ⅰ.政府はなぜ、歳出削減をするのか
7月7日に閣議決定された歳出入の一体改革、いわゆる「骨太の方針2006」(「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」)で、①2011年度には、国・地方の基礎的財政収支を黒字化する。 ②基礎的財政収支の黒字化を達成した後も国・地方を通じ収支改善努力を継続し、一定の黒字幅を確保する。③債務残高GDP比の発散を止め、安定的に引き下げることを確保する。[2011年度に国・地方の基礎的財政収支を黒字化させるためには、16.5兆円程度の対応額が必要で、少なくとも11.4兆円以上は歳出削減し、残りは税収増(上げ潮政策)か増税となる] なお、今後5年間に国家公務員を5%、地方公務員を4.6%削減(総務省の方針)する予定だが、これは、歳出削減(総人件費を抑制し、負担増やむなしの世論形成が必要)を行い、小さい政府を目指す(地方分権、官から民へ)という小泉改革の流れを引き継ぐものである。
Ⅱ.日本の財政危機の現状について
中央政府の累積債務残高は、827兆円(06.6末)でGDPの2倍以上に達し、終戦当時に匹敵する。単年度の一般会計の財政赤字約29.9兆円(06年度当初)以外に、国債の借換額の105兆円(06年)が135兆円に急増する08年は、「国債2008年問題」と騒がれたが、税収増による買入償却と、20年債・30年債などへの長期債に借換し、当面解消したと財務省は11月2日、HPで公表。(借換自体、問題の先送りだが、他に選択肢がない状況) しかしながら、国内ではノーリスク資産とされる日本国債も、格付けは後進国並みで外国人保有は4%台。これ以外に、イラク戦争の戦費負担など米国の財政赤字をファイナンスさせられている。
Ⅲ.財政破綻の懸念
2005年1月20日の経済財政諮問会議で政府は、「構造改革が進まなければ」日本は5年後に財政破綻すると発表。日本国の財政は極めて厳しい状況にあるとの政府認識は、今も変わっていない。(経済財政諮問会議06.11.24) 借換債を含めた国債の発行は引き続き高水準が続き、2011年度には150兆円を突破し、高止まりし、これ以後減ることはない。財務省は、「国債の確実かつ円滑な消化」、「中期的な調達コストの抑制」を国債管理政策の中心にすえ、その安定的な消化が課題で、金融機関(銀行、生保等)には引き続き相当程度の保有を期待しなければならない、と考えている。金融庁は、各銀行の貸し出し・投資内容を厳しく査定する方針に転換し、国債の保有比率を高めに誘導。個人向けは販売額に頭打ちの兆候が出ていることに財務省は強い危機感を持ち、対策を検討中。(購入者が高齢者に偏っており、新規購入者は低下傾向) また、財務省はあらゆる方法を駆使し、キャピタルフライトを阻止せんとしている。今後締め付けは益々厳しくなるし、見えないところで規制を強化している。米国は日本の国富の限度は2015年と試算。(ファイナンス先を日本から中国、インドへ) 金利上昇で2015年というタイムリミットは早まる可能性もある。(長期金利1%の上昇で、1.3兆円の金利負担増)
※「2020年の世界」という2004年秋に作られたアメリカ政府部内のリポートには、「2020年にはアメリカのパートナーは中国とインドだ」と書かれている。先日、アメリカの著名な大学教授がNHK・BSで「中国とインドがアメリカのパートナーだ」と明言した。アメリカの有力な経済人も同趣旨の発言をしている。アメリカは日本の富を緻密に計算して「2015年限界説」を述べている。日本はアメリカによって使い捨てにされようとしているのである。このままでは、日本国の財政破綻は確実である。
Ⅳ.財政破綻阻止に向けた政府の取り組み
小泉前首相は2006年6月22日の「経済財政諮問会議」で、社会保障費が減るなど、歳出削減が限界に達すると、「増税してくれ」という声が必ず起こると指摘。安部首相は、今のうちに消費税を上げておかなければならない、とする財務省勢力を駆逐し、「経済成長」戦略のシナリオ「上げ潮政策」を経済政策の看板に掲げ、「経済成長なくして財政再建なし」と、小泉路線を若干修正した。日本の経済成長を2%に設定するか、3%か、4%なのか、それによって、税収見込みは全然違ってきて、消費税率をどうするかは、将来的にそれとセットで、再度見直される。要するに、歳出削減のみでは、税収は回復せず、現時点での増税議論は景気を腰折れさせるとし、来年の参院選後に先送りした。今の時点では、経産省主導の強気の経済運営に賭けるしか他に選択肢がない。「上げ潮政策」は、毎年見直されるが年々ハードルが高くなり、2009年頃になると公約の達成は不可能との見方が大勢となり、国内外の失望を買うだろう。景気の先行きは意見が割れているが、「いざなぎ超え」といわれた今回の景気拡大も個人所得が全く伸びておらず、地方景気は底をはっていることから、地域格差が拡大し、地方景気が全体の足を引っ張り減速に向かう可能性がある。政府がデフレ脱却宣言に踏み切れないのはインフレ期待が強まって長期金利が上昇に転じると、安倍政権の成長シナリオが根底から崩れるからであり、このままの膠着した状態が当面続く可能性が大きい。2012年には団塊の世代が年金受給世代になり、この年を境に、国の社会保障費が爆発的に増え、借換債も2011年に150兆円超と急増することから、2007年の参院選後に予定されている増税論議の末、大増税に突入する公算が大きい。安部政権が2011年まで持たずに失脚していれば、それは、成長シナリオの破綻を意味し、2010~2012年には財政面で国家的大変動が始まる。(2011年危機説)
Ⅴ.国家財政の大変動
最初は、中央政府の省庁再々編から始まる。(早ければ、2009年頃に兆候がある) 地方分権の流れに先行し、すなわち、道州制の議論が収束する前に国家財政の大変動が起こる。中央政府は規模縮小を余儀なくされ、中央政府の地方出先機関のほぼすべてが廃止される。中央官僚といえども財政大変動の流れに抵抗できない。道州制は都府県間の利害調整が難航する。愛知・静岡・三重など一部の県で合併が進む可能性はあるが、複数の県が国同様、財政が破綻し、道州制への移行は困難となる。国民生活は、インフレと失業者の増大等大きな影響を被ることが予想される。政府は、無期限債(償還期限無期限で金利のみ払う)への切り替えや財産税などの措置で切り抜け、大きな混乱は比較的短期間で集結するが、内外への信用失墜が大きく経済はしばらくの間低迷する。
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予測がはずれることを切に祈ります。
★一部、「財政破綻」→「財政大変動」という名称を使用いたしました。
★★参考文献等:アメリカに食い尽くされる日本 (森田実・副島隆彦共著/日本文芸社)、財務省HP、経済財政諮問会議HP、日本経済新聞、本ブログ記事
次の総選挙が見えている現状からして、増税論議はできないんでしょうが、この先の物価上昇、ますます広がる地方と都市の格差を考えると何か大きなショックがないと増税論議はできないのではないかと思います。
この大きなショックが財政破綻ということなのかもしれません。そのときは日本全体の債務のレベルからすると、大幅な増税が行われることは、ほぼ間違いないでしょうが、どんな世の中になってしまうのか非常に心配です。
最初に結論っぽいことを言ってしまうと、要するに、「日本は外圧でしか変われない」 ということなんだと思います。ボブさんのおっしゃるように、この国の指導者たちは、目先のことや保身のことばかりを考えているように見えて仕方がありません。おそらく自ら改革を断行する度胸もないんでしょう。下手を打てば、税金と既得権益に群がる裏社会から消されてしまうかもしれないと考えると、それも仕方がないことかもしれませんが。
ボブさんの言われる大きなショック(つまりは外的要因)によって世の中が大混乱したときに初めて、何らかの手を打つ、というのが日本的に感じます。いずれにしても、このままズルズル先延ばしをするだけでは、いつまでたっても希望を持てる明るい世の中はやってこないと思います。「生かさず殺さず」では、たまったものではありません。