607.増税に耐えますか、それとも財政破綻宣告させますか |
政府債務がある水準まで蓄積したとき、公正な手段で全額が返済された例はひとつもないと思われる。財政収入を債務返済にあてる義務から解放されることがあったとしても、すべて破産によってであった。そして、破産が宣告された場合もあるが。たいていは、実質的な破綻を覆い隠して、債務の返済を装う方法がとられている。(アダム・スミス著 「国富論」、山岡洋一訳、日本経済新聞出版社より)
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これは、森木亮さんの 「日本国増税倒産」(光文社、2008年4月30日刊) からの一節です。これを読んで、私はフィナンシャルジャパンの 「政策後進国ニッポン」 という特集の中の竹中平蔵 (元総務大臣、慶大教授) さんの記事を思い出しました。以下に引用してみます。
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日本国は1990年代にとんでもない財政赤字を作ってしまいました。財政赤字を抱えた国は、すぐに財政を黒字にすることはできません。だから、どの国も赤字国債を増やさないようにして、じっと我慢するのです。その間にもし経済が2%成長すれば、36年間でGDPは2倍になりますから、実質的に赤字を半分に出来る。その手法しかない。財政が大変だから、何がなんでも財政赤字を減らせというのも無責任なんです。財政は手段であって目的ではないのです。経済成長力を高めるよりも増税で財政赤字を解消しようという話が出てきていますが、それでは国が滅んでしまいます。(中略) 戦後世界の多くの国で何度も何度も財政再建が行われましたが、最初に増税した国は必ず失敗しているのです。増税をした瞬間に経済は悪くなって税収は伸びません。悪循環に陥ります。すると、国民から厳しい批判を受けて、政治は混乱するでしょう。経済が混乱して、政治が混乱したら、財政再建は続かなくなります。私から見れば、昨今の増税議論は、失敗しようとして、わざとやっているようにしか思えません。(竹中平蔵氏、フィナンシャルジャパン7月号より)
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日本は、2002年以降、増税路線を走っています。そして、今まさに消費税率アップが議論されようとしています。森木さんは、日本国はすでに財政破綻しているのだから、増税などという悪あがきすれば、国は破滅の道をたどることになる。一刻も早く、「国家破産宣言」 をして、国家再建の道を歩むべきだと著書の中で説いています。竹中さんは、先に増税をすれば必ず失敗する、まず財政再建を先行せよ、と言われています。2人の主張には、増税 (先行) 反対、という共通する思想があるのではないでしょうか。依然として、労働者の賃金も不動産価格も下落が続いている。それにもかかわらず、国際商品価格は急上昇しており、物価は上昇基調に転じています。このままいけば、消費者は買い控えなどの防衛行動に走り、内需は低迷して、国内景気は本格的に下降していく可能性があります。この現状のままでは、増税先行には耐えられないのではないか、と考えますが政治はどのような決断をするのでしょうか。
>だと著書の中で説いています。
政府が国債のデフォルト宣言をして、借金を棒引き(?)しようとしても
国民(主に年配者)のすさまじい怒りを買う結果になると思います。
それは、最近の年金や医療保険問題に対する年配者の反応を
見ればわかります。
政府は怖くて、とてもデフォルト宣言など出来ないでしょう。
また、途上国ならいざしらず、わが国の場合はいやしくも先進国と
されていますから、国債のデフォルト宣言を行うなどは
国際的にとても許されるものではありません。
若年世代は、とにかく金を使いません。自動車に乗らない、酒を飲まない、煙草も吸わない、ローンで住宅も買わない。米国の正反対の「贅沢は敵だ」を実践しています。これでは将来の経済が縮小してしまうこと必至です。
きていますから、私はそれほど心配はしていません。
インフレ率 年間20~40%程度ならば、とてもハイパーインフレ
とは言えないでしょう。
高度経済成長時代のわが国でも、インフレ率 年間10~20%は
あったのではないでしょうか?
ここ数日の報道を見ますと、日本の財政が破綻する前に、
財務省自身がもう終了しているような気がしますね。
リセット必要じゃない?
たとえば、asahi.comによりますと・・・
>財務省は5日、383人の職員が深夜にタクシーで帰宅する際、
>運転手から「サービス」として現金や金券、 ビールなどの提供を
>受けていた、と発表した。大半が税金から支出されるタクシー券を
>利用して、個人的な サービスを受けていた。なかには数千円の
>現金や金券を年150回程度も受け取っていた職員もいた。
これじゃあ、財務省の主計官が、他省庁に予算をきびしく!!と
いっても、オマエモナー、ていわれるのが落ちでしょうね。
所詮、省益あって国益なし、自分の省庁がよければ、後はどうでもいい。
むかしの、陸軍と海軍みたいだという事です。
万引きしてもつかまるのに、上記の役人が牢屋に入らなかったら、
法の下の平等っていうのは、お題目だけ、憲法なんてウソばかりと
いう風潮になってゆきますよね。魚は頭から腐る。
団塊世代の食い逃げを許すまじ。
それから、思うようにコントロールできない、
期待した消費行動を取らない、
いまの賢い若年層の身代わりとして、
主に中国からの移民受け入れが
真意を隠して議論されていますが、
これも実現されれば、赤字国債と同様に
「今だけ良ければそれでよし、あとは野となれ山となれ」
という趣旨の、団塊世代の悪しき遺産のひとつになるでしょう。
将来の世代への禍根を断つためにも
これは絶対に阻止しなくてはなりません。
それはそうですが、問題は、今の金融商品に投資に値するものが
ほとんど無いことでしょう。
>個人向け国債(けっこう売れてるようですが)など買ってる場合では
>ないでしょう・・・。
今の日本の金融商品では、購入者にとって一番有利だと思いますが。
貴殿のように マネージド・フューチャーズ に投資出来るような人は
ごく一部の富裕層ですしね。
今後、日本が借金を増やし続けた場合、やはり円・日本国債の信用はゆらいで行くのではないでしょうか?そのとき、円・日本国債は残念ながら暴落すると私は思っています。
マンに関してですが、エージェントによっても異なると思いますが、5000ドルから購入可能な商品があることを最近知りました。約50万円ですので、これなら庶民でも手が届くのでは?興味のある方は探してみてください。東京都恵比寿にあります・・・。
額面で見た借金は、破綻回避のみに着目するなら特に減らす必要はなく
あくまでGDP比で見た債務を減らせばいいのだと聞きましたが。
どんな国でも長期的に見れば債務「額」は増えていくでしょう。
>あくまでGDP比で見た債務を減らせばいいのだと聞きましたが。
平たく言えば、GDPとは国民の 「稼ぎ」 ですから、
身の丈に合った借金にとどめろ ということだと思います。
>額面で見た借金は、破綻回避のみに着目するなら
>特に減らす必要はなく
とんでもない。 借金の絶対額は少ない方が良いです。
野放図な借金は、国民負担としてはねかえってきますから。
米国とは異なり、日本の場合は他国から借金したくても出来ません。
外人投資家からみたら、日本国債などほとんど魅力ないです。
国内で国債の資金調達出来なくなったときが、政府の終わりですね。
その考えには基本的に賛成です。今、消費税増税などで急ハンドルを切れば、景気悪化で横転しかねない状況ですから・・・。ゆっくりやって行くしかないでしょう。しかし、問題は①GDPが今後順調に上がると思えないこと、②金利上昇のリスクがあることです。問題の芽があることが、すでに問題で、①または②の可能性は非常に高く、いずれの状況でも大混乱は必至と考えますが・・・。
正社員と同じ仕事をして、給料10数万。
かたや団塊の世代の管理者は、年収1000万以上。
若い世代は、金使いたくても使えないよ。
友達も正社員になるのが夢だ~なんて言ってるし。
梅雨どきなので、みんな同じでしょう。仕事は1日も休んでいません。
記事を長らくかいていないのですが、書くネタがないわけではないのです。
ちょっと、リハビリがてら、軽く書いてみます。
私は、一応、財務省の出している数字を根拠のあるものと信じています。財務省の出す数字を信じないとすれば、信じられるものがほとんどなくなりますので・・・・。財務省の出している試算では、実質ではなく名目金利となっていますので、実質金利の場合どう変わるかはわかりませんが、長期金利が上昇した場合のシュミレーションは以下の通りです・・・。
あくまで問題は「比」です。額の差ではありません。
債務額とGDPには「元の額」にそもそも差があります。
額の差で見れば利払い比の方が大きくなるのは当然です。
そもそもソレは実質的な金利負担が実質金利で決まるという
ハナシを否定する根拠にはなってないように思えるのですが。
ちなみに財務省は「財政危機はありえない」と格付け会社への抗議文でハッキリ
明言しておりますが、当然これも根拠に基づいたものなので信用してもよろしいんですよね。
ここでは金利上昇がすぐに利払いに反映されるものとします)には
[上がった後の金利-あがる前の金利]分利払い費が増えるので、一気に5兆円も10兆円も増えたりするわけですが、それ以降(金利がその状態を
キープしていると仮定)は、利払い費の増加は再び緩やかなものに戻ります。
対する税収は利払いと違って成長が続く限りずっと同じペースで増え続けます。
両者はそもそも増え方の性格が違うので、単純計算で片付けるのはよくないと思います。
財務省は破綻現象が明らかになってきても、「財政危機はありえない」と言い続けるでしょう。歴史を見れば明らかです。ただし、数字では嘘をつきにくいはずです・・・その根拠は、数多くの経済学者が注目しており、間違えれば指摘され、恥を公表する格好になるからです。
間違ったかどうかなんて所詮は結果論ですし。
ちなみに財務省の後年度影響調査を見ていただければ財務省の推計が
如何に信用ならないか理解していただけると思います。
利払いと税収の増え方の違いについては異論はないのでしょうか?
金利が上がったときだけドカンと増えるのが利払い
同じペースで成長が続く限り同じペースで増え続けるのが税収
という意味です。
たとえば1パーセント金利が上がれば800兆×0.01=8兆円も
利払いが増えてしまうのですが(あくまで単純計算です)それは最初だけで
次の年からは再び緩やかな増加に戻ります。
少なくとも現段階では40年債なんかが普通に売れてるように
長期的にも日本国の財政持続可能性に不安はないと
プロは判断を下しているわけで。権威を盾にしているのか
権威に反対しているのか良くわかりませんね・・・
間違えるプロもいるでしょう。財務省の試算も間違えがあるかもしれないが、何かを根拠としないと、自分の考えを展開できませんので・・・。
増え方に違いがあり、長期であるほど税収のほうが有利だという話をしているだけで。
あくまで問題は「比」です。額の差ではありません。
債務額とGDPには「元の額」にそもそも差があります。
額の差で見れば利払い比の方が大きくなるのは当然です。
そもそもソレは実質的な金利負担が実質金利で決まるという
ハナシを否定する根拠にはなってないように思えるのですが。
というコメントに答えていないと思うのですが・・・。
何度も言いますけどね、その財務省の試算における「増加額12兆円」っていうのは
何も毎年それだけ増えるというわけではないんです。
今年の成長率が1パーセント、金利が1パーセントとします。
翌年の成長率は2パーセントになり、金利も2パーセントになりました。
成長率が1パーセント増えたことにより税収増加額は5000億円増えて
1兆円になりましたが、利払い費は8兆円(わかりやすくするため
一年で国債が全て借り替えられて新しい金利が全債務に反映されるものとします)増えました。しかし、その後金利も成長率も変わらなかったため
その翌年は税収増加額は1兆円、利払い費増加額は18兆円×0.02=3600億円になりました。
これでお分かりいただけると思います。
失礼しました。
「GDP比での債務残高が増えなければよしとする」という意見でしょうか?
金利があがった次の年は、上がった金利×800兆円分、利払い費が増えますが
金利が上がらない時に増える利払い費はあくまで債務の増加率分のみになります。
ヨコヤマネー氏の仰る「高成長が続くほど差が開いていく」という状況は
ソそれこそ毎年金利が上限なくあがり続けるような状態でないと起こりえません。
1年目 成長率1%、金利1%
GDP505兆円 借金1010兆円 GDP比債務残高200%
2年目 成長率2% 金利2%
GDP515.1兆円 借金1030.2兆円 GDP比債務残高200%
3年目 成長率2% 金利2%
GDP525.402兆円 借金1050.804兆円 GDP比債務残高200%
4年目 成長率3% 金利3%
GDP541.16406兆円 借金1082.32812兆円
GDP比債務残高200%
成長率、金利ともに同率で上昇する場合、GDP比債務残高は変わりません。なお、金利が上昇しても、それがすぐに全債務に反映されるわけではありません。
GDP・借金にかかる増加率がまったく同じ数字なら、当然のことながらGDP比債務残高は永久に変わらないでしょう。
ところが、ことの内容はそんなに単純ではないのです。借金には、長期国債もあれば短期国債もあり、国債以外の借金もある。また、借金借り換えのためにかかる借簡債という費用も莫大です。実際に借金がどう増えていくのか・・・このへんの内部事情を把握しているのは、財務省だけなのです。財務省が出す数字がもっとも正解に近いはずです。もちろん予測・仮定が入ってきますので、そこらは外れるかもしれませんが・・・。個人で国家財政の試算をされても、残念ながらなかなか正確なものはできません。
PBが均衡していて、金利と名目成長率が同様であれば
GDP比債務が均衡するというのは財政について語る上で常識です。
(ドーマーの定理といいます)
そして国債金利の基準としては10年債のものが用いられます。
(最も平均に近いからです)
ところで税収と利払い費の増加の性格の違いに関してはもうよろしいんでしょうか。
借りた金で金を返すわけですから。
また、借換債についてですが、借金を60年で償還するとして、10年経った時点で償還するのは60分の10で、残りの60分の50は国債を発行します。これを借換債と言います。会計上は色分けされますが、流通している国債に色が付いているわけではないので、新規の10年国債も借換えの10年国債も長期国債であることに変わりはありません。
間違った前提で主張をしていると、財政破綻否定派に攻撃の口実を与えることのなると思います。
また、財政破綻否定派の人たちにも言っておきたいのは、ここ数年のGDP比債務残高が均衡もしくは少しばかり改善したからと言って、財政破綻しないと主張するのは極論であり、そういった論理で主張を展開するのはやめたほうがいいと思います。
財務省の役人は基本的に国益よりも省益の方が優先しています。財務省の役人にまかせておいたら、増税で日本経済はズタズタになっています。経済がズタズタになるということは、分配のための原資が大幅に減少することであり、社会保障もズタズタになります。
「さらば財務省!」 高橋洋一 著
私は国家財政悲観論者ですので、財務省も日銀も基本的に信用しておりません。残念ながら財政再建は困難だと考えているうちの一人です。私が信じているのは、財務省の出している数字だけです。ここにも捏造があるのかもしれませんが、もしそうなら破綻の時期が早まるだけでしょう。いずれにせよ厳しい。「財政危機はありえない」などと言っている財務省はとんでもないと思っています。
私は「大幅な経済成長率・税収増、低金利の長期安定を同時に達成すること」これのみが、日本の未来への唯一の可能性であると信じていますので、ナオキさんの「政策次第で財政破綻を回避する方法がある」という意見より悲観的です。つまり、ミラクルなことが起こったり、神風が吹かないかぎりは無理。政策の良し悪しではなく+アルファの幸運が必須と考えています。
金利と名目成長率が同様であれば、GDP比債務が均衡するのは、理論上理解できますが、財務省の試算では異なった結果になっていますね。
そこが捏造なのかと言われれば、否定はできませんが、なんらかの出費が計算上発生するのだと個人的には考えます。たかが消費税増税のため(国民を増税に誘導するため)にリスクを冒して、財務省がそこの数字を捏造する局面にまではいたっていないと考えます。現時点では「財務省の出す数字までは信用する、しかし財務省の言っていることは信用していない」というのが私のスタンスです。
当然、うまくいかなければ破綻する可能性もあります。naokiさんが仰っているとおりです。
>ヨコヤマネー
あなたが仰っているようなことが書いてある推計がいくら探しても見つからないのですが
いったい財務省のどの試算を元に主張してらっしゃるんですか?
ちなみに財務省の推計にどの程度の信用性があるのかは
財務省の後年度影響試算を見ていただければわかると思います。
(かれこれ10年くらい「一般会計支出が90兆円超える!」と言い続けています)
森永卓郎のようなエコノミストも財務省の試算に何度も反論しています。
セーフティジャパンで記事が読めるので、暇があれば読んでみることをお勧めします。
財政先行きを予測する材料で、財務省に入手できてほかの研究機関に
入手できないものはないと思います。財務省ばかり妄信するのはやめたほうがいい。
破綻論者のようなことを言いますが、財務省に先見性があればこのような借金もなかったでしょう。
2008-07-02 01:15 のコメントをお読みください
金利の上昇には、「良い金利上昇」と「悪い金利上昇」があります。景気が低迷しているにもかかわらず、長期金利が上昇すれば大問題ですが、景気回復に伴う金利上昇であれば問題ではなく、むしろ歓迎すべきだと思います。
日本における税金の捕捉率は、あまり良くないはずです。(クロヨン、トーゴーサンピン)
ゆえに、税収の伸びと借金の伸びを比較すると状況が悪く見えてしまうのではないかと思います。同じ前提条件で、GDP比債務残高を見れば違う結論になるのではないかと思います。