44.三位一体の改革をめぐる議論(NHK討論) |
◆そもそも、国の財政が厳しくなっているところから出発しているのだが、地方の自主性に任せた方が税金の効率的な使用ができる。地方の借金も今年度204兆円になった。かなりの部分は90年代に、景気対策としての補助事業(公共事業)を国にやらされたからだ。そうしておいて、一方で、地方債 (補助金部分を除いた自己財源) の一部を地方交付税で還元するような仕組みを作った。このような、政策誘導的な交付税の使い方はやめるべき。交付税の原資となる国税の税源のあり方は見直すべき。ただ、地方歳出総額の抑制は必要で、地方で物事を解決するような仕組みを作らねばならない。(増田寛也岩手県知事)
◆地方が決めて、責任を持ってやった方がいい。国の財政が厳しいのはみんな知っている。自治体と国はやるべき仕事を分けた方が住民にとってプラスになる。権限も地方に渡すべきだ。ただ、交付税はなくせない。(古川康佐賀県知事)
◆国の仕事を地方にやってもらい、税源は国においておきたいというのが国の本音だ。これまで、補助金、交付税を削減し、税源移譲をしなかった。財政面で地方は自立できていない。交付税は過大になると地方自治を破壊してしまう。自主財源を保証してあげなくてはならない。(神野直彦東京大学教授)
◆国が借金の現状を明らかにして、国と地方の役割分担を明確にした方が住民にとってわかりやすい。国は、緩めたら地方が何をするかわからないと考えているようだ。交付税そのものが不透明でわかりずらい。国も地方もお互いに金がないので、将来ビジョンを示すべき。(穂坂邦夫埼玉県志木市長)
◆仕様からルールまで、依然として、国に規制でがんじがらめにされている。根底には相互不信がある。官官規制をできるだけ小さくする方向に持って行かなくては。国と地方が負担の押し付け合いをしているだけでは、日本は持たない。効率化させ、自由度を増しながら、財政を持続可能なことにしていくのは車の両輪のごとくやらなければならない。国と地方が協力してやっていかねばならない。地域の活性化なしには日本の復興はあり得ない。90年代に、地方債の償還財源を交付税で補てんするような仕組みを作ってしまい、第二補助金のような性格になった。ただ、交付税措置そのものは今後も必要。(本間正明大阪大学教授・経済財政諮問会議委員)
注)地方交付税とは地方が必要な行政経費のうち、自ら賄えないものを国が補うものです。