171.年金不信とセーフティ・ネット |
日本の年金制度に関しては、奇説というか、野口悠紀雄先生の著書「「超」リタイア術」にあっと驚く見解が述べられています。日本の公的年金は、積立方式で始めたつもりが、政治的配慮(国会審議の過程で低く値切られた)と計算間違い(積立金の利回り)のため、必要な保険料を徴収できず、「年金は安い買い物」との錯覚に国民が陥った挙げ句、その後の年金改革は、これらの誤りを徐々に訂正していく作業以外の何ものでもない、というものです。(この著作は年金の問題の本質を鋭く指摘しており一読に値します) 確かに、賦課方式(現役労働者が支払う保険金によってまかなう)であるならば、単年度の収支が見合う程度の資金でよく、現在、厚生年金だけで150兆円以上もの積立金があることの説明がつきません。
年金問題の最大の焦点は、公的年金の世代間アンバランス(若年層ほど条件が悪くなる)であり、先の意識調査では、将来の給付減の懸念と相まって、現役層、シニア層の双方が年金不信に陥っているものと考えられます。★本サイトではこの問題の解決に関して、何らかの見解を述べようとするものではありません。
セーフティ・ネットの観点からいえば、一定の年齢 (例えば、65才とか) までは自助努力で何とか手当てをし、その年齢以上に長生きするという、長生きのリスクを国のセーフティ・ネットで救済する、といった、ごく当たり前の考え方に落ち着いてしまいます。(肉体的個体差により、セーフティ・ネットが早く必要となる場合も当然、あり得ます) 年金不足解消のためには、極端なインフレを回避することと、世界標準の預金金利での資産運用を可能にすること、の2点が政府に課せられた重大な責務であるといえるのではないでしょうか。
★年金問題に関して書こうとすると、独立したホームページくらいのボリュームになってしまいます。
よく政治家とか官僚があれこれやった時に、マスコミとか
ご当人が政治不信を招いたので申し訳ないとか、社会保険庁は
年金不信の元凶だ、とかいいますが、もうすでに不信でなく
確信となっているんですけど。







