まず、6月18日7時56分頃に発生した大阪北部地震で罹災された方々に心よりお見舞い申し上げます。いよいよ南海地震が近いのではないか、というネット記事が増えてまいりましたが、地震はもとより予測不能。どこで起きても不思議はありません。普段からの備えに努めたいものです。
さて、19日にメルカリがJQに上場し、株価は暴騰していいます。かつて、大前研一氏は「低欲望社会」になって消費が伸びないから物価が上がらないのだ、と繰り返し説き、先進諸国のGDPの伸びが落ちれば、「世界的な低欲望社会になっているのだ」とのたまう。私は、大前氏の説明は違うのではないかと思っていましたが、もしそうならフリマアプリがこれほど爆発的に売り上げるはずがない。低欲望社会などではない。原因は所得の伸びがマイナスになっているからではないでしょうか。
ここにグラフを掲載することはできませんが、この20年間、日本の大卒の初任給はほとんど伸びていません。先進諸国では1.5倍から2倍に伸びています。失業率が低下し、雇用は伸びたが賃金は上がらない。日経ビジネスオンラインの3月号によると、1995年から2015年までで、企業の株主等分配率は増え続けています。内部留保比率も同じく伸び続け、労働分配率のみが下げ続けているのです。いわば、日本の労働者の一人負け状態になっている。
もっと極端な言い方をすれば、企業や富裕層は益々富み、庶民はこの20年間で貧困化が進んでいる。企業は内部留保の積み増しを優先し、無借金経営に走っている。労働者が「もっと出せ」と声を上げない。企業も賃上げよりは雇用の安定を守ろうとする。労組は組織率が低下し、御用組合化している。これも安倍一強、野党の弱体化の影響が出ているとは言いたくはありませんが、日本の企業は守りに走っている。給料を上げろという声がどこからも起こらない。これでは所得が増えるわけがない。
さらに、「働き方改革」で60時間以上の残業規制が行われれば、12.6兆円の残業代のうち5兆円が消失することになる。(日経ビジネス3月号の試算による)また、所得が増えないのは、正規雇用・非正規雇用が士農工商の身分制度のごとく固定化し、低賃金に抑えられているなど、問題が複雑にからみあっています。ハッキリ言えば銀行など金融機関をはじめとした多くの大企業では正社員の給与を高く維持するためにパート労働者の賃金を時給1000円とかに固定化し、同一労働をさせているのです。こんな制度に誰がした。
所得が増えないことには消費は増えない。欲しいものがあっても我慢してメルカリなどのフリマで辛抱する。または若年層も中年層もゲームなどの課金のため消費を控えようとする。違うでしょうか。今後、高齢化が急速に進んでいくのも消費低迷の要因になる。日本がデフレから脱するにはこうした複合要因を解いていかなければなりません。容易なことではないように思います。