1499.日本の片隅で「賃上げ」を叫ぶ

26日の株価は一時、1万9000円を割り込みましたが、終値は何とか1万9000円台を維持して引けました。日銀がＥＴＦ買いをやったのかもしれない。メディアはどこにも書いてないけど。しかし、株価があまり下がると、国会議員が、「7月の参院選で勝てない、何とかしろ」と言って騒ぎ出す。参院の6年の任期は先延ばしはできない。株価こそが安倍内閣の通知表なので、2万円割れは株価が出戻ったみたいでいかにも格好悪い。最低でも2万2000円は維持したい、いや出来るならば2万4000円台以上をと願っているのではないでしょうか。

株価は、自民党が総選挙で勝利した2012年の12月頃から本格的に上がりだしました。ですが、アベノミクスの目標は株価ではなく、デフレ脱却だったはずです。日銀の副総裁、審議委員にリフレ派を勢揃いさせて大規模金融緩和をやった。岩田規久男副総裁は自らの学説を実際に市場で実験した日本では希有な経済学者です。しかし、岩田氏は敗れ去った。早稲田大の若田部昌澄氏はヘリマネをやれなどともっと過激なことを言っているが、どうせ無駄でしょう。それより賃上げの方法を考えるべきだ。

それにしても賃金はなぜ上がらないのでしょうか。平成の30年間、ほぼ賃金は上がらなかった。まさに平たく成ったとみんな言っている。安倍首相は経済界に対して6年連続で賃上げを要請しています。賃金を上げるには、昔の社会党の闘士みたいな過激な労働組合員が出てきてストとか、今なら違法スレスレをやって「賃上げ」を叫ばないといけない。今の野党ではだめだ。ストでもなんでもやって賃上げを勝ち取れ、と野党はなぜ言わないのか。そんなことだから、労働者の支持が得られないし、自民党はリベラルで野党は保守だ、などと言われるのだ。

政策だって悪い。自社株買いを許したため、企業は余ったカネでチマチマと自社株を買って金庫株にして市場に出回る株を少なくして株価を吊り上げている。株価吊り上げにはほかにも方法があって、賃上げにまわすべきカネを配当に回す。せっせと借金を返して財務内容を良くする。内部留保を積み上げるのです。昔、リチャード・クーが流行らせた、「合成の誤謬」という言葉を想い出しました。話はそれるけど、上場企業の6割は「無借金経営」などといわれているから、銀行はろくな融資先がなくて、経営に四苦八苦して、個人融資や手数料稼ぎくらいしか儲ける方法がない。来年あたりから地銀がいくつか本当に潰れ出すかもしれません。ゆうちょ銀行の貯金の預け入れ限度額が、来年4月から1300万から倍の2600万円になる。これは地銀にとって真に危機ではないかと本気で心配しています。

マジ卍、企業は真剣に賃上げに取り組むべきだ。近くにあるどっかの半島の不愉快な国は、強制的に賃上げをやらせて経済が悪化しているらしいが、あんな社会主義国がやるようなことはいけない。しかし、さすがに日本も考えなくてはならない。今の企業財務こそが「ぬるま湯」だ。このままでは来年10月の消費増税でデフレがさらに悪化することがみえている。平成の次の時代もデフレ地獄から脱却できない。まずは儲かっている孫さんのところとか、剛力某の愛人の会社。月に行くカネがあるなら給料を上げろ。それから通信、IT企業や新興企業。TV広告や投資ばかりにカネをまわさずに賃金にも振り向けてほしい。玉突き効果を是非期待したいものです。