先週、若手の有名俳優が自死し、ワイドショーネタにされていた。自死などテレビネタにされるだけだ。つまらんぞ。この俳優は、志田未来ちゃんが演じた「14歳の母」で志田未来を孕ませた少年、というイメージしかない。ほかの出演作は記憶にない。志田未来は、出演時は役の年齢より若い13歳の少女だった。少女は大人になり、25歳で結婚もして、今は27歳だ。時の流れは早い。5月にも22歳の女子プロレスラーが自死し、大きく取り上げられていた。この人は私はまったく知らない。世の中には生きたくても生きられない人がいるんだ。若者よ、命を粗末にするな。
去年の8月10日に瀧本哲史氏がガンでなくなった。まだ47歳だ。エンジェル投資家、京大の客員准教授で教壇に立ち、経営コンサルタント、会社役員など複数の肩書きを持っているが、世間的にはホリエモンとかのように超有名人ではない。これから有名になる可能性があった人だ。最近、「2020年6月30日にまたここで会おう」という本が出版された。この本は2012年6月30日に東大の伊藤謝恩ホールで行われた講演会の内容の書き起こしである。従って、文章は話し言葉になっている。この人の言葉には力がある。
瀧本さんのことは、「僕は君たちに武器を配りたい(2011/9/21初版)」という本を読んで知った。こういう本が私の若い頃にあったら、私の人生も変わっていたかもしれない。この本は今、下の娘のところにある。感銘を受けた本は、最近は手元におかずに下の娘に渡している。娘は大学の文学部で歴史を学び、同じ年代の若者よりは、多少は本を読む。その瀧本さんがガンで亡くなったのを去年、新聞の訃報で知り、衝撃を受けた。
瀧本さんには2020年6月20日は来ない。この本のタイトルは私を悲しくさせる。同じ思いを抱いている人も多いだろう。この人は間違いなくメンターとなって、時代の先端に立ち、人々に影響を与え、日本を引っ張ってまだ見ぬ世界へ連れて行ってくれる人になっていただろう。残念でならない。自死した若い俳優よ、そんなに命がいらないのなら、この人に与えてくれ。