3249.火中の栗を喜んで拾う

10月4日、夕方6時頃から始まった高市新総裁の記者会見で、1番最後に、朝日新聞の記者が「裏ガネ議員を要職につけるのか」という質問をしたが、これは、幹事長候補の荻生田光一議員について、朝日が、まさか幹事長にしないよな、と念押しをしたのである。朝日に限らず、産経新聞を除く新聞・テレビは、高市氏を叩きに来るだろう。権力が不正をやらないか、監視するのがクオリティ・ペーパーの使命だと思い込んでいる、というのは昔の朝日で、もうだいぶ前から、保守現実派の議員を敵対視して、叩きにくるのである。事実を正確に報道しているのがマスコミの使命、などと思っている国民は高齢層を中心にまだかなりいる。

次なる難敵はまず連立相手の公明党である。斉藤代表は、靖国参拝や外国人政策について苦言を呈し、連立解消をちらつかせて脅しにかかってきた。25年も連立を組んでいるが、正直、保守派現実路線の人には、公明党との連立を解消した方がメリットは大きいと主張する人も多い。実際、憲法改正の議論が表だって進まないのは、公明党が反対しているからだ。高市氏は党内融和路線で進めていくことを表明しているので、自民党としては難しい判断を迫られることになる。

自衛隊の制服組には不安が広がった、との意見もある。台湾海峡有事が早まるのではないか、と考えているのである。中国は公式なコメントは出していないが、中国のメディアは、靖国参拝や過去に中国に対する強硬な発言があったことを持ち出している。領空侵犯など、挑発的な行動に出て反応を見るかもしれない。

オール自民党で働いてもらう、と高市氏は言い、総裁選候補の処遇などについても触れたが、他の3人はともかく、小泉進次郎だけは絶対にダメだ。そもそも空っぽのアタマだと、何をしでかすかわからない。総裁選が終わればノーサイドだ、なんてきれい事など、この党には通用しない。そもそも人数が多すぎるので、派閥を作って、派閥順送りに総裁を輩出してきた党である。岸田・石破になって、自民党の左傾化が目立つようになったが、149対145と高市氏は僅差で勝利したが、グローバリストが約半数いる。そのうちの何割かは親中派である。敵は内部にも大勢いる。

党の4役人事を日曜にやる、と高市氏は言ったが、党の役員が決まらないと、与党の多数派工作ができない。野田代表は(高市総裁との)連立などあり得ない、と言ったが、石破との連立を画策していた事実がある。数合わせだと、衆議院は定数465議席の過半は233議席である。石破が自民党の議席を196まで減らしたため、公明の24を足しても220議席しかない。石破は、裏ガネ議員を制裁と称して旧安倍派の議員を大量に減らした。小学校の算数で考えれば、自公以外の野党が結集すれば、野党政権も可能だった。だが、れいわ(9議席)と共産党(8議席)との連立は保守系野党が嫌がるので、首班指名は、統一できなかった。憲法67条の規定では、過半数を衆議院と参議院それぞれで記名投票を行い、過半数を得た者が指名されるが、過半数を得た者がいない場合は、上位2名による決選投票が行われ、多数を得た者が指名されることになっている。石破が「我が党は比較第一党だ」と吠えたのは、まとまりのない野党に救われたのである。今回、どうなるかは現時点ではわからない。

衆参両院での院内政局、内政、外政問題も多く抱え、重大な決意をもって、火中の栗を拾った新総理がどうさばくのか、見守っていきたい。