391.地方債は第二のアルゼンチン国債か |
夕張市が財政破綻 (財政再建団体を来年申請予定) して以来、新聞には自治体の破綻に関する記事が連日のように報ぜられるようになりました。一般の人々の財政破綻に対する関心もかなり高まったのではないでしょうか。夕張市では市民の人口1人あたり485万円の借金。これに対して同じく国民1人当たり648万円の借金を持つ国が偉そうに指導できる立場なのか、というツッコミをいれたくなります。地方自治体全体の累積債務は200兆円といわれていますので、国民1人当たりでは166万円の借金となります。(ゼロだけでも14桁もあるので電卓では計算できません)
夕張市の場合は、金融機関の貸し手責任も問うべきだとして、金融機関に債権放棄を求める意見もあるようですが、現在調整中の破綻法制では、自治体の債務免除も実際に検討されています。(8/21付日経) 元自治省出身の片山善博鳥取県知事は、「自治体の債務には政府の関与はあるが、政府保証など毛頭ない」と断言しています。(8/31、NIKKEI NETより★) これが事実としたら、縁故債などで大量に自治体に貸し込んでいる地銀や信金は震え上がることでしょう。自治体が放漫財政を続けて財政破綻した挙げ句、金融機関は債権放棄しろというのは、恐ろしい話です。債権者である金融機関は弁護士、公認会計士などを中心とした破産管財人の手で債権を取り立てようとし、地方の歳出削減を強く迫るでしょう。破綻法制を適正にルール化することで意外にも地方の改革は国より早く進むかもしれません。
総務省は市場で地方債を公募発行している34の地方自治体に対して、表面利率などの発行条件を横並びで決める方式を見直すよう指示したという記事があります。これによると、個別交渉で発行条件を決める自治体間では神奈川県1.9%、東京都2.0%など、差別化が明確になっていきます。(8/16付日経) 総務省は、国と同様、地方自治体にも赤字地方債を解禁する方針のようです。(9/13付日経) 自治体で格付けにより国債との利回り格差が出るようになれば、自治体も安易に起債できにくくなり、真剣に財務体質の強化に取り組まざるを得なくなるのではないでしょうか。
★同記事によると、「自治体債務には政府保証があるはずではないか」と金融機関の人も錯覚しているそうです。旧自治省 (現総務省) にあるのは、起債の許認可権限などですので、国の債務保証があると勘違いしているのかもしれません。法律・政令等明文化されたものは、おそらく無いのでしょう。かくいう私も政府保証があると思い込んでいました。
大阪府によると「地方債は、地方税及び地方交付税を担保とした債務」とのことであり、国からの地方交付税を通して、暗黙に国の保証が入っていると考えることもできます。
http://gijutsu.exblog.jp/3991605/
ご指摘のように、政府保証は法律・政令等明文化されていないと思います。今後の法制度によって、「債務減免・金利減免・リスケジュール」を含むデフォルト処理が可能になるように進まざるを得ないのだと考えます。
そして、勘の良い方は、「それは、徐々に、地方債と、国民の金融資産を、相殺していくためのプロセス整備なのではないか」と気づかれることでしょう。







