484.道州制は縦割りの大きな政府か~道州制最新論議の矛盾~ |
■■
1.国の役割を外交・安全保障に重点化し、内政は道州に任せる体制を作る。
2.区割りは国民的議論で決定する。
3.税源移譲などの改革の第一段階は、使途を限定した「シビル・ミニマム交付金」を創設。第二段階は、自らの税収で賄えるよう国からの交付金を廃止し、新税を創設。
4.今後、3年以内の道州ビジョン策定後、3~5年を目処に基本法や実施計画を策定。その後、2年程度の準備期間を経て道州制への完全移行が考えられる。
■■
要するに、最短でも8~10年かかってしまう、ということです。まるで、スローモーションのような改革です。この変革の激しい時代にこんな悠長なことでいいのでしょうか。政府の地方制度調査会は9、11、13のブロック分けの案を提案していますが、道府県が納得するのか疑問です。(東京都23区はワシントンD.C.のようになるらしい) 共同通信社の記事から続けて引用しますと、「現行の国庫補助事業や国の地方出先機関を道州に移管し、道州や市町村が原則として事業の実施主体になる」 これでは、道府県はどうなるのでしょうか。
この共同通信の記事と5月25日の読売の記事を読み比べると、首をひねりたくなるような矛盾に気づきます。読売では、以下のようになっています。「政府の地方分権改革推進委員会 (委員長:丹羽宇一郎伊藤忠商事会長) は、6月にまとめる「経済財政運営と構造改革に関する基本方針 (骨太の方針) 」で、国の地方出先機関の事務を地方に移すことで、国家公務員を3割以上、人数にして10万人削減可能という試算を出している」。さて、削減した国家公務員はどこへ行くのでしょうか?道州政府へそのまま移管するのでしょうか。政府の2つの委員会の素案は矛盾しているように思えます。削減した国家公務員は、新たに道州政府の公務員になる、と考えると、2つの委員会の素案の矛盾が解けます。
道州制は要するに、府県合併となるので日本地図から県境が消えてしまうはずです。例えば、仮に中国地方の5県で中国州を作ると5県分の県庁職員で道州政府を作り、道州議会ができる。しかし、その上に国の出先機関の職員がオンされると、途方もない職員数の道州政府が出来上がってしまいます。中央政府は、地方出先を切り離して多少は、スリムになるのかもしれませんが、中央政府が今の枠組みで残ると、道州政府は中央の縦割りに沿った形でしかも巨大な組織となってしまいます。それは中央官僚の思惑なのでしょうか? そんなことが果たして許されるのでしょうか? 中央政府の廃止・再々編も道州制と合わせて一体的に議論するべきと考えます。