576.円安信仰・円安願望 |
だから、全ての金融資産を円で持つのは危険なので、海外に分散投資する方がいい、という証券会社や銀行のセールス・トークのような短絡的なことを言うつもりはありません。もっとも、最近ではまっとうなFPも、金融資産の1/4は外貨預金、あと1/4は外貨建て投信などと無責任に言っていますが。 最近は、誰でもみんなやっている、というほどではありませんが、外貨投資をする方が増えてきました。円安リスクをヘッジしている、国内の低金利を嫌気しているといった見方がより本質に近いでしょうか。すなわち消極的な円安願望です。
さて、話がそれました。冒頭の円高の話です。なぜ円高になるのか、といえば、今までの円安は、異常な金融緩和策と円安政策により作られたものであり、いわば円安バブル。日本の経済政策が正常なものであれば1㌦=70円台になってもおかしくない、とする説を提唱する方がいます。(野口悠紀雄氏、週刊新潮'08.1.31) 最近数年、海外のファンドや日本人投資家による円キャリートレードの加熱で外貨需要が増え、円安になるという投機の自己増殖により 「円安バブル」 が発生していた。しかし、サブプライムローン問題を契機に、欧米各国の金利が低下し、円安バブルが崩壊し始め、円高と米国経済悪化懸念が日本の輸出産業の業績を引き下げると予測して、日本の株価が下落している。しかも、金融緩和と円安政策に依存して本当の改革を怠ったツケはこれから支払わなければならず、それが終わるまでまだだいぶ時間がかかるだろうと野口氏は指摘しています。円高は本来、日本経済にとってプラスになるはずですが、輸出企業へのダメージが先行し、メリットを享受するまでのタイムラグがあるため、当面の景気失速はまぬがれません。この円高がいつまで続くのでしょうか。若林氏は、 2010年頃、1㌦=100円割れし、その後円安に反転すると予想している (「改訂版 黄金の相場 (2007年)」) のですが、米国の不動産バブル崩壊時期の予想のズレから考えると、ハズレることも有り得るでしょう。為替予測が難しくなっているように思えます。円資産の海外逃避はやはり中長期で考えるべきかもしれません。
日本経済は20年前と比較して弱くなったのだから、実態に合わせて円安になるべきだと思います。
日本経済の実力以上に円高になると、将来の円安を担保してしまいます。本当に円高が良いと思うのであれば、目先は円安にして将来の円高を担保すべきだと思います。
また、円高が良いか円安が良いかはその時の経済状況によると思います。政策金利をその時の経済状況に合わせて上下させるのと同じであり、高金利低金利どちらが良いか、一概に言えないのと同じだと思います。
ちなみに私は、20年前の日本経済が強かった時は円高論者でしたが、日本経済が弱くなった現在は円安論者です。
米国: 金利3.0% - インフレ率4.1% = -1.1%
日本: 金利0.5% - インフレ率0.8% = -0.3%
ユーロ: 金利4% - インフレ率3.1% = +0.9%
(インフレ率は、'07年12月のデータ)
この前のFRBの強烈な利下げで、金利差が一気に逆転してしまいました。バーナンキ議長は必要ならまた下げると言っていますから、金利差はさらに広がる雰囲気になっています。
今後はこの金利差が徐々に効いてくると思います。
しかし、2週間で1.25%の利下げを本当にやるとは...
モノラインやホームエクイティ以外にも、まだ表沙汰になっていない事情があるんですかね。
その財政出動は最後のリフレ作となるでしょう。問題は何に財政出動させるかです。減税をしても富裕層が増えるだけで物価高騰に苦しむ庶民は報われません。日本人が外貨を購入すればそれらの資金はそれらの国々での投資に使われるので日本は円安となるでしょう。しかし、私は条件付きで長期的には円高と見ています。理由は第三次産業革命で日本は圧倒的に優位に立つ可能性が高いからです。但し、日本人の指導者が本当に馬鹿なら日本の時代を抜かして中国の時代となります。今年から12年が正念場です。
円高については、足下の対ドル安の動きだけではなく、中長期で見たユーロなどの基軸通貨と比較した日本国株式会社の競争力が反映されてしかるべきで、対ユーロや対アジア通貨では円高が継続していく可能性がありますよね。
要は、今の為替水準は不確定要素が大きいということを「前提」に織り込んでいるということがいえるのではないかと思います。
円の実効レートは14ヶ月ぶりの高水準にまでなっています。(日経紙2/5付け) 正直申しまして、今後、どっちに向いていくのかサッパリわかりません。当面、円が高くなる節目、節目で小刻みに、通貨を分散して買っていこうと考えています。日本株は当分様子見でしょうか。
これだけやってもデフレから脱却できないのですから、インフレターゲット論者のいう主張する人為的な緩やかなインフレなんて絶対に起こせない気がします。
ちなみに米国経済失速の影響を懸念して更なる金融緩和政策が採られれば、金融相場となって日本株は業績を無視して急上昇するかもしれません。と言っても、金利は0.5%しか糊しろがないのですが・・・
超低金利→流動性の罠→デフレ→デフレだから超低金利→流動性の罠の継続→デフレ→デフレだから超低金利→流動性の罠の継続→・・・・・・
このような状況ですから、現段階での利下げは好ましくないと思います。
・当面の対策としては、景気が回復の軌道に戻るまで政策金利を0.5%
に据え置くと宣言する。(時間軸効果)
・アメリカの景気回復と日本のCPIの上昇傾向がはっきりと確認できた段階で徐々に政策金利を上げていく。
政策金利が2%近辺になれば、流動性の罠から脱却できて、インフレ傾向が鮮明になると思います。