なぜ、地方六団体は、補助金に対してNOという回答をつきつけたのでしょうか。今回は、地方公務員の方々から入手した情報をもとに、推察してみたいと思います。補助金の中には、もう役割を終えた (ニーズがほとんど無い) ものや、無駄なものが多いのではないか、と一般の人は考えているようです。ある意味、そのとおりですが、地方自治体の立場から見ると少し違います。まず、根底にあるのは、危機的状況にある地方財政です。しかし、中央省庁の現局は、地方の財政事情には、おかまいなしに、自治体の要望額以上の予算を無理矢理、押しつけてきます。バブル崩壊後の経済対策という大義名分に地方も従わされました。(補正、のめないんだったら、この補助金、こんなには、いらないよね~、これは財務省担当官の中央省庁への無言の圧力だそうです) しかし、この借金が積もり積もって、国・地方財政を悪化させる大きな要因となったのは明らか。主な財政出動だけでも、12回、総額145.1兆円にのぼります。2005年3月末の公債残高483兆円の3割以上です。
◆1992年 8月 総合経済対策(宮澤内閣) 10.7兆円
◆1993年 4月 総合的な経済対策の推進(宮澤内閣) 13.2兆円
◆1993年 9月 緊急経済対策(細川内閣) 6.0兆円
◆1994年 2月 総合経済対策(細川内閣) 15.3兆円
◆1995年 9月 経済対策(村山内閣) 14.2兆円
◆1998年 4月 総合経済対策(橋本内閣) 16.0兆円
◆1998年11月 総合経済対策(小渕内閣) 17.0兆円
◆1999年11月 緊急経済対策(小渕内閣) 17.0兆円
◆2000年10月 日本新生のための新発展政策(森内閣)11.0兆円
◆2001年10月 改革先行プログラム(小泉内閣) 5.8兆円
◆2001年12月 緊急対応プログラム(小泉内閣) 4.1兆円
◆2002年12月 改革加速プログラム(小泉内閣) 14.8兆円
(参議院予算委員会調査室「財政関係資料集」)
※首相時代も含め、小渕~森政権の蔵相として君臨した宮澤氏の功績はあまりに大きい…。
また、補助金適正化法の縛りがあって、継続中の補助事業を自治体の都合で中止しようとした場合、当初までさかのぼって、補助金を返還しないといけません。いったん動き出した事業を途中で止められない理由の多くはここにあります。
交付金には、それらの縛りがなく、自主財源並みに自由に使えます。このため、地方としては、補助金配分権限をちらつかせ、地方行政に過度に関与しては、仕事を増やしてくれる国の存在がうとましいのではないでしょうか。