323.消費税増税のジレンマと日本国破産のシナリオ |
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10年後 (2014年) の基礎的財政収支 (プライマリーバランス) を均衡させるためのは、国債の利払い費を除く歳出の33%削減もしくは、40%の税収増 (すべて消費税で換算すると税率21%とする必要がある) が必要としており、いずれか一方のみで埋めることは到底不可能 (朝日) なので、その両方を実施する必要があるとしてる。(財政制度審議会の素案の記者発表)
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約1年半後の2006年3月28日付け朝刊記事には、ほぼ似たような内容の記事が載りました。(共同通信社の配信記事から以下に引用)
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財政制度審議会は、社会保障費などの歳出削減を行わずに増税だけで税制を健全化するには、消費税率を現在の5%から2015年度には、22%まで引き上げる必要があると指摘した。逆に増税せずに歳出削減だけで財政再建を目指す場合、2015年度には、26.9兆円の歳出削減が必要と試算。このような「大幅な歳出削減を行うことは国民生活や国家の機能に大きな影響を及ぼす」として、消費税増税を含む増税が欠かせないとの考えを示した。(財政の長期的試算については、以下のHPを参照下さい) http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/top.htm
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この2つの記事は、掲載時期こそ違いますが、内容はほぼ同じです。3月27日の発表内容の方が前回より、より具体的かつ詳細な内容となっていますが、財政審は何度も同じ内容の記者発表を繰り返すことにより、増税の必要性を強くアピールしているものと考えられます。この答申は3月29日の経済財政諮問会議に提示される予定ですので、今後の増税についての議論のベースとなるものと思います。しかしながら、消費税率アップについては、国民の反発は予想以上に強く、仮に強引に税率アップを行えば、小泉シナリオの2%の経済成長率が達成できなくなる公算が強くなり、財政再建そのものの前提条件が崩れてしまう。要するに、最悪シナリオ (経済成長率1%程度) をたどる可能性がある。すなわち、2011年までに基礎的財政収支は改善せず、2005年度のまま2011年度まで横ばいでいく…。
今後の展開を予想しますと、増税と歳出削減、そのいずれもが中途半端に終わり、財政再建が結果的に頓挫するか、増税を強引に導入し最悪シナリオをたどる、その二者択一となる可能性が高いと考えられます。よって、2011年にたどりつくまでのいつかの時点で、本当に国家破産してしまうという最悪の事態を覚悟しなければならないのではないでしょうか。