606.地方の地価下落とガソリン価格上昇の果て~地方の中での地域格差~ |
この結果、どういうことが起きているかというと、県都中心地域の住宅地の地価が下がったため、マンションの建設が中心部で進み、郊外での1戸建ての分譲が激減しました。買い手がいないのです。このため、平均地価が下落している県でも中心部は下げ止まるか、やや上昇の気配がみえ、郊外で自動車がないと生活できないような地域は、土地取引そのものが皆無に近くなり、大きく下げています。最早、値段が付かないような状況なのです。売りたいと言った瞬間に激しく買い叩かれる。今後もこの傾向は続くでしょう。この結果、郊外での中小規模の分譲を手がけていた、地元の中小の住宅会社がバタバタと倒れています。
ガソリン価格の上昇も、郊外の住宅建設には大きな逆風となっています。ガソリン価格は6月1日から1㍑=170円台になる模様で、今後も先高感が強い。庶民はレジャーや遠出をひかえ、ガソリンの消費を抑えようとしますが、長い目で見れば、自動車も燃費効率のいい軽・小型車に替えていくか、自動車そのものの買い控えが起こるかもしれません。
公共事業の減少で体力勝負となっていた官公需頼みの土木業界はかなり淘汰が進みました。唯一、低金利を背景に安売り攻勢をかけていた建築業界も、地価下落、ガソリン価格高騰、住宅ローン金利上昇で中小の会社は経営困難に陥っています。この苦境を逆手に取った、市街地中心部での開発は今後いっそう進むものと考えますが、地域格差が地方の中でも進行していくのではないでしょうか。こうして、公共投資の選択と集中が行われ、地方の地価下落は負の循環により際限なく進むとみています。行き着く先は限界集落の増加や地方の荒廃だと思います。