1212.遠ざかる道州制論議 |
さて、6/22の日経紙に、「道州制基本法案」が今国会で提出を見送られた、という記事がありました。道州制の検討は、政府部内で深く静かに進められていたはずでしたが、どうもそうではなかったらしい。道州制のラッパを吹いていた、みんなの党は渡辺喜美が失脚し、同じく日本維新の会も分裂してしまった。道州制推進派が壊滅状態になってしまいました。どうやら、自民党内も建設族など保守派が反対して党内がまとまっていないようです。建設族は国土強靱化計画などの予算をバックに全国市町村長会、市町村議長会などを抱き込んで反対派を形成しています。各県もあまり熱心とは思えません。そもそも県域単位で利権がガチガチになっている県経済の崩壊につながるとして地元の経済界が反対しています。地元紙なども道州制に関してはほとんど記事にしません。
日経紙は、大震災などで国への依存が強まったのではないか、また、最近の国際情勢をみると道州制は国力を弱めるとの見方もあると書いています。かつて、大前研一氏は日本を800万人~1500万人程度の州に分割し、地域の裁量と徴税権を大幅に強化した上で地域間競争をやる、というような理想を唱えていましたが、現実はなかなかそう簡単ではない。道州制は本来、地方の自由な権限と裁量が前提となっています。税収や権限の地方移譲は霞ヶ関が易々と手放さないのではないでしょうか。
今の日本を見ていると、労働力人口や国力が目に見えて衰退しています。また極東情勢も余談を許しません。このような状況下においては国を分割するのがいいのか、ひとつにまとまるのがいいのか、どうも議論は後者の方向に進みつつあるように思います。道州制論議は10年は後退したのではないでしょうか。
【参考記事】 478.道州制の理念とそれを阻む深い闇(2007年05月21日)

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